11月27日(月) 早朝ベッドでの読書は筑摩書房の『ちくま』12月号。金井美恵子・保阪正康・角田光代・鹿島茂など各氏の連載を読んだあと斎藤美奈子氏の連載『世の中ラボ163大河ドラマに備えて作家・紫式部の人生を知る』を読み始めて思わず笑ってしまった。来年のNHKの大河ドラマ『光る君へ』は紫式部が主人公らしいが彼女を知るための本として最初に選ばれていた本が小生のイチオシ漫画本の『新編 人生はあはれなり…紫式部日記』(小迎裕美子&紫式部・著/赤間恵都子・監修/KADOKAWA刊)だったのだ。小生はナゴン派の人間(清少納言が好き)でシキブ(紫式部)は少々というか…かなり苦手にしていたがこのメッチャ面白いシキブ漫画紹介本には完全に参ってしまった。何しろシキブのことが「平安系絶望女子」として社交的でなくネガティヴでセンシティヴでジイシキとプライドがメランコリックに混じり合った女性として捉えられているのだ。まさに400字詰め原稿用紙2400枚分の小説(源氏物語)でも書かなければ生きていけない「平安系絶望文学女子」の人生(日記)が「紫な劇場(激情)パープルライフ」として描かれているのは見事。著者の小迎裕美子さんは当初ナゴン派として『本日もいとをかし!!枕草子』(KADOKAWA)というケッサク本を上梓されたが「をかし」から「あはれ」へ=「ナゴン派」から「シキブ派」へと見事に変身して書かれたその本を3冊選んだ「シキブ」のトップに紹介した斎藤美奈子氏はやっぱりサスガですね。あとの2冊は山本淳子『紫式部ひとり語り』(角川ソフィア文庫)と倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)。後者は読んだので前者も読んでみよ。そーすれば紫式部の《ソウルメイト》道長との《愛の物語》などと宣伝されている大河ドラマなど見なくて済むに違いない。ワン。黒兵衛と散歩のあと終日デスクワークは『Up and Coming』(FORUM8)の連載『スポーツは教えてくれる』の原稿書き。川淵三郎氏の文化勲章受賞を取りあげて「スポーツ文化」とは何か?という原稿を纏める。小生が大阪のテレビのワイドショーに初めて出たとき「野球やサッカーを日本の文化に…」と話すと女子アナが「玉木さんの高校では野球部は文化部だったんですかぁ?」と言われたモノだった。今でも「スポーツ文化」とはどういうモノか…?答えられない人が多いですからね(>_<)晩飯はTVKで吉本新喜劇を見ながら。スッチー登場。しかし千葉ちゃんのほうが活躍しましたね。
11月15日(水) 朝ベッドでの読書は千葉聡『ダーウィンの呪い』(講談社現代新書)読み始める。チョイと理解しづらいとこもあるけど(遺伝の説明等)オモシロい。ダーウィンは「適者生存」という言葉を使ったことがなく現代の進化学者もコノ言葉は使わなくなった(封印された)けどユヴァル・ノア・ハラリのような有名な学者までが今でも世界的ベストセラー『ホモ・デウス』のなかで「進化論は適者生存(survival of fittest)の原理に基づいている」なんて(間違ったことを)書いている…という指摘には驚きですね。ダーウィンの「進化論」に対する「理解」は「あらゆる名声は誤解の総体である」というリルケの言葉(『マルテの手記』)を思い出させますね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。道路工事で通行者や通行車の交通整理をしている人に挨拶。皆さん挨拶を返してくれる。黒兵衛を撫でてくれる人も。気取らない人たちとの挨拶や会話はイイですね。ワン。終日デスクワークは月刊誌『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」の執筆。サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏の文化勲章受賞の「意味」は先月北國新聞にも書いたけどさらに詳しく記述。スポーツを親会社等の宣伝に利用するのでなくスポーツをやることそのものを目的にしたJリーグやBリーグを創設した人物に文化勲章(国の御墨付き)が与えられた「意味」は小さくないですね。これを機会にスポーツを「所有」したり「利用」したりしている企業はスポーツを「支援」するカタチに「進化」するべきですね。夕方から大相撲。玉鷲は素晴らしいですね。良い相撲を取りながら白星に繋がらなかった明生は貴景勝相手に勝てて良かったですね。ニューズを見ながら晩飯のあとはBS11で『三波春夫あなたに逢いたい〜初めて語られる昭和スターの素顔』を見る。小生は自分の出たTV番組はほとんど見ないのが常(恥ずかしいですからね)だけど三波春夫先生からいただいた長さ4mの墨痕鮮やかな手紙をTVで初公開したこともあったのでジックリ見せてもらう。イイ番組でした。娘さんの三波美夕紀さんの話も面白かったし三山ひろしさんの『俵星玄蕃』も美事で素晴らしかった。三波先生と共演したパーカッショニストの話も三波先生が定宿にしていた山形上山温泉「古窯」の女将さんの話も素晴らしかった。すべては三波春夫という素晴らしい人物の賜物と言えるのでしょうがこんな素晴らしい番組に出させてもらえて光栄でした。番組はYuTubeにあります。https://www.youtube.com/watch?v=VKA9ynDyOK0
Back to 11月5日(日) 朝のベッドの読書は『幻のレコード』の大正期の話。大正末から昭和にかけてレコードが爆発的の売れ出して(実に1か月70万枚)《俗曲・里謡(民謡)・落語・万歳といった通俗な芸能に卑猥な言葉やくすぐり(下ネタ)が入ることは多々あった》とか。《色気づいたか五月の蝉は松を抱えて腰つかふ…》といったものらしいがコレは珍丸愛吉という芸人が吹き込んだ「串本節」だが砂川捨丸も登場。捨丸師匠は小生が餓鬼の頃のテレビの演芸番組にも「捨丸・春代」の漫才コンビでよく登場してましたね。ワン。長女と孫とヨメハンと一緒に黒兵衛の散歩のあと机の解体が終わって広くなった庭の整理。俺が少々仕事をしている間にみんなはホームセンターに出かけて野菜の種などを買ってきてプランターに植え付けたり。俺がゴミの整理で疲れて昼寝しているうちに長女や孫は帰っていったらしい。チョイと仕事のあと関西シリーズ。3-0になった時点でほぼ勝負の行方は決まって6-0で確信。シーズン最多安打の中野に無死一塁で送りバントをさせ…あと1打者で勝利投手の青柳を交代させる…まぁ勝てばいいという野球をタイガースまでがするようになったわけですね。そして山本由伸投手はアメリカへ。時代は変わりましたね。しかし…この先どう変わるか…日本はどうなるのか…誰にもわからないけど…とりあえず関西万博は返上中止にしたほうが良さそうだし神宮外苑の再開発もやめたほうがいいですね。そしてマスメディアが日本の野球界を支配するのもやめにしましょう。野球界は野球人の手に返しましょう。
Back to11月2日(木) ベッドのなかの朝の読書は筒井康隆先生の『カーテンコール』から「夜は更けゆく」「お先の人生」「宵興行」「離婚熱」「武装市民」「手を振る娘」「夜来香」「コロナ追分」「塩昆布まだか」「横恋慕」「文士と夜警」を次々と読み進む。筒井先生ゼッコーチョーですね。面白すぎてタマリマセン。ワン。ベッドから出て黒兵衛と散歩。散歩中も「横恋慕」を思い出して小さな美人の人魚と鮑の水槽の中でのセックスシーンとそれを見て嫉妬する主人公を思い出してケケケケケと笑い出してしまう。「どないしやはったん?」といつも一緒に散歩しているヨメハンに訊かれてイヤマァアノソノケケケケケと狼狽えてしまう。筒井ワールドは毒素満タンですな。ワン。終日デスクワークは本ホームエージの原稿作りと来週火曜の名古屋中日文化センターでのオペラ講座のレジュメ作り。ふうううう。何とか日本シリーズ第5戦に間に合わせてテレビの前でビール&晩飯。いやぁ宇田川投手の超低目に落ちるフォークボールをすくい上げて打った森下の左中間三塁打はホンマに見事やったですナァ。これで小生の予想(期待)通りに3勝3敗3引き分け両チーム日本一になったら最高なんですけどね(笑)。
Back to 11月1日(水)again この日も毎週水曜恒例のRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演してました。筒井先生の本の面白さとタイガースの選手の監督のアホ采配を凌ぐ頑張りに興奮して書き忘れました。話の内容は10月29日のスポーツ政策学生会議についてです。13年目を迎えてもまだ九州の大学は未参加。来年は是非とも参加してください。特に九州大学の図書館は拙著『スポーツとは何か』(講談社現代新書)を教授たちの推薦する100冊に入れてくれたくらいですからね。是非とも参加してください。
Back to 11月1日(水) 朝ベッドのなかで筒井康隆先生の『カーテンコール』から「本質」「羆」「お時さん」「楽屋控」「夢工房」「美食禍」の6編を読む。どれも面白く一人ベッドのなかでケケケケケと痙攣的哄笑を発してしまったがヤハリ元SF作家だけあって石器時代の人間に現代の美食を食わせる『美食禍』が面白かった。と同時に谷崎潤一郎の『美食倶楽部』を読み直したくなった。これは世界一美味い料理を目隠しして味わうという小説で目隠しされて横に並んだ男たちが涎をびちゃびちゃ垂らしいて旨い旨い旨いとわめくメッチャ面白い小説。その料理とは実は…種明かしはやめましょう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。黒兵衛の食事も涎垂らしてあっという間ですね。ドッグフードってそんなに美味いのかな?ワン。終日デスクワークは本HPの原稿作りや請求書書きなど雑務。そんなに頭を使う仕事ではないので久し振りにマーラーの交響曲を順々にBGMに。1番の『巨人』はムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団とテンシュテット指揮シカゴ響がイイですね。バーンスタインは若いときにNYフィルを振ったモノがイイですね。『大地の歌』はバーンスタイン指揮ウィーン・フィル綺麗な音とのディースカウとキングの歌が最高ですね。あ。海賊版だけどクライバー指揮ウィーン・フィルのルートヴィヒとクメントの歌も見事ですね…と思ってるうちに晩飯の時間。もちろん日本シリーズを見ながら。岡田はん!今季最多安打の中野に送りバントはさせんといてほしいなぁ。
Back to10月29日(日) ベッドでの朝の読書はカットして常より1時間早くベッドから出て小雨降るなか黒兵衛と散歩。秋は天高く…だけでなく我が身世にふる長雨せしまに…もあるのですね。イロイロ準備して大船駅から東海道線に乗って東京駅へ。タクシーで明治大学の駿河台キャンパスへ。スポーツ政策学生会議(Sport Policy for Japan;SPJ)に笹川スポーツ財団の審査員として参加。全国から集まった32大学61ゼミから寄せられた学生たちによる「スポーツ政策」のうち昨日の予選グループを勝ち進んだ5大学(明大・立大・東海大・一橋大・亜細亜大)8ゼミの発表を聞く。最優秀賞に選ばれたのは立教大学の「聴者と聴覚障害者の架け橋プロジェクト」で聴覚障害者と聴者が共に手話によるコミュニケーションを行うなかでサッカーを行うためのノウハウを考えたモノ。学生たちが互いに選ぶ賞でも第1位となりスポーツ庁長官賞にも選ばれた。小生が審査した笹川スポーツ賞は決勝には残らなかったけど一橋大学の文化としてのスポーツを推進する企画『「ウォーキング・ツーリズム×物語」で地域活性化』熊野古道を歩いて物語を創る(AIも用いて)プロジェクトというもの。じつは神奈川大学の『宇宙×スポーツ〜宇宙産業の発展に向けて』という企画もナカナカ面白いと思っていたのだがコレはスポンサーの一つであるフォーラム8賞に選ばれたので一橋大のほうを選んだ。少しでも多くの学生の努力が表彰されるほうがイイですからね。他の賞の結果などは近々スポーツ産業学会のホームページで発表されますのでお知らせします。表彰者に賞状を授与して講評を語ったり記念撮影をしたり…お世辞ではなく今年の学生たちの発表内容はレベルが高かったですね。しかし今気付きましたけど毎年何処かのゼミが題材に取りあげるオリンピックとのコラボ企画が皆無だったのはやはり贈収賄事件の影響かな?若い学生たちとの交流を終えて帰宅。タクシーが捕まらないので御茶ノ水駅まで歩いて中央線&東海道線経由で帰宅。晩飯食べながら日本シリーズは昨日の裏返し。関西ダービーは仲良しダービーですね(2項目前を見てください)。
Back to10月28日(土) 『宗教の世界史』読み進む。一神教の元祖でユダヤ教・キリスト教・イスラム教が信仰するヤハウェYHWHは実は「一柱の神(一神)」だけが存在していたわけでなく多神教のなかから生まれたのですね。それはモーセの《十戒の第一条「あなたはわたしのほかに何ものをも神としてはならない》という一文で明らかなんですね。それは《ヤハウェ主義が厳密な意味での唯一神教ではないことを示している》そしてモーセは《「主(ヤハウェ)よ。神々のなかにあなたのような方が誰かあるでしょうか」と叫ぶ》つまり「自己主張が強く極めて嫉妬深いヤハウェという神」が「自分だけ」を主張して人間(モーセ)がそれを受け入れたところから一神教が生まれたわけですね。神々が人間の生き写しであり「神が人を創った」のではなく「人が神を創った」とするならYHWHは結構自己チューの人々(古代カナンの地に暮らした人々?)が創作したと考えられるのですね。それを「改革」しようとしたのがイエスやムハンマドというワケなのか…読み進みましょう。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。天高く馬太(マタイ)伝売れる秋。22日の本欄をお読みください。いろいいろデスクワークの一日。ラグビーW杯3位決定戦の録画をなかなか見ることができない。トホホ。夜は日本シリーズを見ながら。山本投手が日本シリーズで勝てないのは何故かな?プロ野球七不思議の一つ?「謎は解かれないほうが面白い。説かれないから謎。解かれるような謎は謎ではない」と確か小林秀雄が『モオツアルト』に書いてた。「解かれるような謎」は「謎」ではなくて「なぞなぞ」ですね(笑)。
10月8日(日) 『ギリシア人の物語V』はついにマケドニア国王の座にフィリッポスが就く。軍隊の大改革や領土の拡大などアレクサンドロス登場前の下地作りに手腕を発揮。そのうえオリンピア競技会の戦車競走でマケドニアの選手が優勝。《フィリッポス自身は馬と戦車を提供しただけでそれを御して勝ったのは別のマケドニア人だがオリンピアの四頭立て戦車競走では御者だけでなく馬と戦車の提供者も表彰される。現代の競走車レースでドライバーと共にフェラーリやメルセデスが優勝杯を手にするのに似ている》おまけにマケドニアは300年もの間オリンピア競技会に《招かれることがなく参加が認められるようになってからも120年が過ぎている。その間マケドニア人の頭上に月桂冠が輝いたことはなかった》それだけに辺境の地マケドニアの人々はフィリッポス国王を中心に気分も高揚し結束も強まったというわけだ。現代行われている近代五輪ではこれほどの「国家の盛りあがり」はないだろう。ワン。ベッドを出て孫と一緒に寒さを感じる空気のなか黒兵衛の散歩。季節の進むのは早いですね。ワン。散歩のあと孫と一緒に映画鑑賞は滝田洋二郎監督『僕らはみんな生きている』。「Japan as No.1」と言われた時代。発展途上の軍事独裁国家の予算で建設事業を奪い合う競争をしていた日本の商社マンたちが革命軍クーデターに遭遇。生死の谷間を右往左往しながら自分たちの非人間的だった人生に目覚めるという見事なブラックコメディ。革命軍に捕まったベテラン商社マンを助けに向かう3人の商社マンのなかで真田広之が革命軍の隊長に向かって行う最後の演説がナカナカ見事。ほかに山崎努・岸部一徳らも名演技でかつての日本のモーレツ商社マンたちの仕事一途の真情あふるる悲哀を演じている。中1の孫もこのブラックユーモアは理解できたようだ。1993年製作の映画。日本経済の没落の早かったことも感じますね。午後はサッカー天皇杯準決勝。J2ロアッソ熊本は残念ながら柏レイソルに敗退。決勝はアビスパ福岡に勝った川崎フロンターレと。夜はラグビーW杯アルゼンチン戦。良く善戦したけれど実力の差が出たかな。残念。冬季五輪のウクライナ開催を主張している五輪アナリストの春日良一さんが札幌市の冬季五輪の「意味のない招致」からの「意味のない撤退」を表明したことに憤ってます。小生もその意見を支持。スポーツ文化&五輪文化のことをまったく無視した行動はまるでバブル期の商社マンのように経済オンリーでオリンピックを招こうとして断念した日本人は映画『僕らはみんな生きている』と春日さんのYutubeを見るべきですね。https://youtu.be/FOsGNmIiN6Y
10月4日(水) 塩野七生『ギリシア人の物語U民主政の成熟と崩壊』(新潮社)読了。アテネはペルシア戦争に大勝し《繁栄の道が開かれた年からは75年後。その繁栄を維持するだけでなくさらに強大化するのに成功したペリクレスの死から数えればわずか25年後》にペロポネソス戦役に敗れて全てを失って没落する。かつて"○○ as No.1"と言われた国が外人観光客のインバウンドや先行き見通しの立たない万博やIRに頼らねばならなくなるほど没落したのも25年くらいのものでしたね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。そう言えば昨日『日刊ゲンダイ』の記者から小生がインタヴューを受けた記事「ただ強いだけのタイガースなんてオモロない」がネットの『日刊ゲンダイDIGITAL』にも掲載されたと連絡があった。皆さん!かつてのタイガース・ファンの"嘆き"を読んでみてください。ワン。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/329789 イロイロ仕事して晩飯はアジア大会サッカー日本vs香港を見ながら。4-0の勝利。オーバーエイジの選手も使ってる韓国との決勝の試合がミモノですね。月曜日のジャニーズ事務所の記者会見で「質問させない記者」のブラックリストのようなものが作られていたことが発覚。それには「積極的に質問させる記者」もリストアップされていたとか。そもそも「一社一人一質問のみ」なんて記者会見とは思えないルールを押し付けられてジャーナリストたちがそれを抗議もせずに受け入れている方がオカシイですよね。首相会見も今や記者会見とは言えない「一問一答」に成り下がってしまった。記者会見はモノローグを聴く場ではなくダイアローグを交わす場のはず。かつて佐藤栄作首相が気に入らない新聞記者を追い出してテレビ相手にモノローグを行ったことがあったけどその時は「質問させないなら出て行こう!」と新聞記者全員が自ら退場したものだった。そんなジャーナリストの気概は今やなくなったのか?
9月4日(月) 奥野克巳『はじめての人類学』(講談社現代新書)読了。面白くいろんなコトが学べました。「外部」から多くのことを学んできた人類学は《新たな「外部」を招き入れる試みとして》《「人間以上の(more than human)人類学」や「人間的なるものを超えた(beyond the humen)人類学」と呼ばれる流れが形成されつつある》という。《人間を中心において世界を捉え働きかけようとする傲慢な姿勢に疑念を抱》いたわけですね。何だか東洋思想のほうが昔から遙かに前方を歩んでいるような気もして…観音人類学なんてのが生まれそうな気もしますが…ワン。ベッドから出てミストのような小雨のなかを黒兵衛と散歩。さすがにこの日ばかりは少々蒸しても暑さはマシで着実に秋は近づいてきてますね。地球温暖化の秋と冬はどんな感じになるのかな?ロシアが喜ぶのかな?ワン。いろいろデスクワークの合間に『ZAITEN』10月号を読む。ジャニーズ問題におけるメディア(テレビ)の責任はどんなふうに自己検証されるのかな?第二次大戦のメディア(新聞)の責任のように曖昧には終わらせてほしくないですね。連載対談『佐高信の賛否両論』での「イデオロギーが異なる国とも外交で解決する」と題した鳩山由紀夫氏との対談が面白かった。《どうしてほとんど役に立たないアメリカ製の武器を日本が買うのかと岸田政権を見ていて思います。ここが今の政権の最大の問題です(鳩山)。聞く力だけあって言う力はないですね(佐高)》夕方からZOOMで共同通信の取材を受ける。千葉ロッテマリーンズの本拠地である千葉市のZOZOマリーンスタジアム改築or新築の問題について。米大リーグの球場が全て税金or税金の援助で建てられているのに日本のプロ野球球団には税金を投入し難いのは何故か?という根本的な話をする。スポーツ(野球)という公共文化財をメディア(新聞社)が牛耳っているから日本の野球文化は歪なママなんですね。政治も戦争もスポーツも日本のメディアの責任は大きいですね。晩飯は吉本新喜劇を見ながら。スッチーが出なくてもマァマァ笑えたかな。NHK『映像の世紀バタフライエフェクト』は「関東大震災 復興から太平洋戦争への18年」。軍部が関東大震災を如何に利用したかがよくわかった。全部を見たわけではないけど震災特集の様々な番組のなかで最も鋭かった。サスガは『映像の世紀』ですね。
9月1日(金) 『はじめての人類学』はレヴィ=ストロースに突入。構造主義と言語学と彼の人類学の関係が非常にわかりやすく説明してあり納得。おもしろい。ただしレヴィ=ストロースがジーンズ・メーカー"LEVI'S"の創業者のリーヴァイ・シュトラウスと同姓同名だというようなことは書かれていませんでした。当たり前ですよね(>_<)ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。長月に突入しても猛暑かなチョイと涼しい秋風の吹く。秋は確実に来ていますね。ワン。フォーラム・エイトの機関紙『Up and Coming』の連載『スポーツは教えてくれる』の原稿を書いて担当者に送稿。テーマは五輪アナリストの春日良一さんが力を入れて提唱している「2030年ウクライナ冬季五輪開催」について。最近数日間春日さんと連絡が取れなくて少々心配していたら彼から夕方にTel。海外出張をされていたとのこと。内容はまだ書けませんがオリンピックで新たな動きが蠢いているとか。ナカナカ凄い動きで近々本欄でも書かせていただきます。夕方から『ニューズ・オプエド』今日から名前が変わって『AIテレビ・オプエド』になったとか。ゲストは千葉大大学院の院生でNPO法人「おりがみ」理事長の都築則彦さんとスポーツライターの小崎仁久さん。都築さんは金曜以外の『オプエド』には既に2度登場。東京五輪の前に「おりがみ(オリンピックを学生みんなで)」という団体を立ち上げいろいろ活動したとか。オリンピックの「平和運動」の理念に賛同しての活動とのことでオリンピックの歴史にも詳しく日本の「金儲け五輪」やメディアの大騒ぎにも批判的で『オプエド』8回目登場の小崎さんとともにオリンピックの問題をいろいろ話し合えたのは非常に有意義でした。若い人が台頭してくれたら老兵はただ去るのみ…かな?(笑)「札幌冬季五輪はどこへ行った?」というテーマでいろいろ話し合った内容は一部がまだ聞けますのでどうぞ。https://op-ed.jp/
8月23日(水) 保阪正康『テロルの昭和史』読み続ける。昭和5年11月の濱口雄幸首相狙撃事件に続く陸軍の三月事件(幻のクーデター)が昭和のテロルの連鎖の基点(起点)となったのですね。三月事件を企てた橋本欣五郎が結成した桜会の《趣意書》には《政党の腐敗》などを批判すると同時に《国家の将来を考えず国民思想の頽廃を誘発する言論機関》も槍玉に挙げていた。彼らが今のテレビのニュースショウを見ればどう思うでしょうね?《昭和期のテロには一つの幹がありそこから決行者・資金提供者・思想家そして支援活動家の層があることがわかる。テロとはその層から突出してくる部分でありそこを繋いで潮流が出来上がっていく》なるほど。現代では山上事件は起きてもテロの連鎖はなさそうですね。いや。岸田首相に何か投げつけた奴も出ましたね。保阪氏の昭和のテロルの分析を読み続けましょう。ワン。黒兵衛の散歩は後回しにしてRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマは夏の満員富士登山と登山の歴史の話。昨日の北國新聞に書いた内容に加えてエベレスト登頂で亡くなったマロリーが何故エヴェレストに登るのか?と問われたときの有名な言葉"Because it is there(そこに山があるから)"も紹介。この言葉が日本で有名になったことで日本のアスリートたちは傲慢になり理屈や理論を言わなくなった(言えなくなった)のかも?午後からテレビで高校野球。慶応高校の応援(大声の暴力?)の前に慶応のユニフォームを真似たけど長髪には出来なかった仙台育英は名前負けした…ということでしょう。もう一度書いておきますが閉会式で朝日新聞社長が「ああ栄冠は…」と歌までうたって慶応高校に「輝く」と言ったのは加賀大介の歌詞の意味を曲解した最低の恥ずべき挨拶でしたね。♪いさぎよし微笑む希望 ああ栄冠は君に輝く…という歌詞ですからむしろ仙台育英ナインにこそ栄冠は輝く…と言うべきでしょう。ちなみに同じ部分の2番3番の歌詞は「青春の賛歌をつづれ」「感激をまぶたにえがけ」で「栄冠が勝者に輝く」とは一言も歌われてませんからね。ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の有名な歌”Climb every mountain"もエヴェレストや富士山に登れとは一言も歌ってませんからね(笑)。慶応高校の勝利で高校野球は変わるか?優秀なリトルリーグやボーイズリーグの中学生を集めて勝たなければ(優勝しなければ)理屈を認めないスポーツ界(メディア界)では変わらないでしょうね。
8月16日(水) 永竹由幸『ロココの裏の欲望』読み進む。「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」の解説は圧巻でした。永竹氏の解説を読まずしてモーツァルトのオペラを語るのは大谷翔平を無視して現在のメジャーリーグを語るようなものですね。永竹氏ははっきりと書いています。モーツァルトは暗殺されたと。暗殺命令を出したのはフリーメイスン。「魔笛」でフリーメイスンの入会儀式や様々な秘密を暴露されフリーメイスンがこれ以上秘密を(フランス革命やアメリカ独立戦争の舞台裏等を)暴露されたらヤバいと思って毒殺命令を下したという。直接毒を盛ったのは夫モーツァルトに何の愛情も感じず浮気を重ねていた女房のコンスタンツェだとか。モーツァルトの死後に葬式もでずコンスタンツェが一生フリーメイスンの支援で暮らしていたことを考えるとめっちゃリアリティありますね。さらにワーグナーもフリーメイスンによってヴェニスで客死というのも凄い推察ですね。こちらは「パルジファル」がメイスンの逆鱗に触れたらしい。ふ〜ん。ベッドから出てRKB毎日放送『田畑竜介GrooonUp』の『Catch Up』にZOOM音声出演。テーマはプロ野球ジャイアンツvsベイスターズ戦で坂本のレフトフェンス直撃弾を外野席のファンが手を伸ばして触ったこと。それで「二塁打とした」といった審判の説明が曖昧だったことを指摘。結果は同じ二塁打でも観客がボールに触れた時点でボールデッド。もしも観客がボールに触れていなかったらどうなっていたかを審判は判断しなければならなかったのだ。そこからメジャーの観客と試合の関係を話す。小生がクリーヴランドで野球を見たときに目の前に飛んできたイージー・ファウルフライを落球したら観客から凄いブーイングを浴びせられたことを話す。アメリカでは野球を「見る」という言い方はなくgo to the ballpark to take in the baseball ggame.と表現する。take in(参加する)。そう言えばアメリカでヤジのキツかった酔っ払いの観客を審判が退場にさせたシーンを見たこともありましたからね。日本の大相撲も昔は関取と餡客が桟敷席で酒を交わしたりして参加していたのですよね…とかイロイロ話したあと今日も猛暑のなか孫と一緒に黒兵衛と散歩したあと孫は夏休みの宿題の読書感想文。俺は『ZAITEN』の連載「今月のスポーツ批評」を執筆。2030年の冬季五輪から札幌は招致の意志を撤回してウクライナ開催を支援しろ!という内容。ふううう。原稿を書きあげてメール送稿したあと孫の原稿をチェック。手助けしてやる。文章を書くというのは難しい行為ですね。
7月6日(木) 『ウクライナ戦争』あと少しで読了。ロシアはこの戦争(特別軍事作戦)で多くの失敗を繰り返したがなかでも最悪なのが《プーチンが作戦レベルとか場合によっては戦術レベルの運用にまで口を出しているのではないか》ということだったようだ。《これは多くの戦争を失敗に導いてきたマイクロ・マネージメントそのものである。つまり最高司令官が現場の細かいことまで介入してかえって混乱を招いたのではないかということだ》なるほど。ヒトラーを初めとする独裁者が失敗したやり方ですね。そのプーチンが《どう見ても戦争が起きているにもかかわらず》特別軍事作戦という言葉に固執し戦争が起きていることを《認めようとしないという態度はアントン・チェーホフの戯曲『桜の園』を思い起こさせる》との指摘はオモシロかった。没落貴族の女地主は贅沢な暮らしを続けカネが必要で「桜の園」を売るほかないのだがその買い手が小作農出身の男であることが気に入らず決断できずにいる…つまり《かつての超大国にしてスラヴ世界の盟主であった過去を忘れられない現在のロシアをここに重ねることも出来ようが戦場の現実(=ウクライナに主導権を奪われたこと)を直視しようとせずに「特別軍事作戦」の名称にこだわるプーチンの姿もまたラネフスカヤ(桜の園の主人公)めいたものを感じざるを得ない》なるほど。チェーホフだけでなくトルストイ&ドストエフスキー&プーシキン&ゴーリキー&ゴーゴリ&ショーロホフ&パステルナーク&ソルジェニーツィン…山ほどいるロシアの凄い作家はロシア人の行動をプーチンも含めて全て既に描いてるようですね。ワン。ベッドを出て黒兵衛と散歩。雨は夜間のみで昼間は空梅雨状態の南関東。暑い暑い暑い。言うまいと思えど今日の暑さかな…という漱石の一句を昔ドンキーカルテットという漫才バンドがギャグのネタにしてYou might thnk but today's hot fish.なんて英語(?)をテレビの『笑点』で披露していた。昔の漫才グループはレベルが高かった(?)終日デスクワーク。暑い日は読書に限る。そしてビール。久し振りにバーンスタインの『キャンディード』を見ながら晩飯。このヴォルテール原作のミュージカル(コミック・オペラ)は本当に素晴らしいですね。