コラム「ノンジャンル」
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掲載日2008-05-28

この原稿は『フォーブスForbes日本版』(ぎょうせい出版)2008年5月号の連載企画『喜怒哀楽』の『楽』のコーナーに寄稿したものです。少々早いですが、古い原稿の文字スキャンがどうしても上手くいかないので(書き写すのは面倒なので=言い訳です=スイマセン)ここに“蔵出し”します。

仕事人間の弁明

 喜怒哀楽の「楽」?
俺が楽しみにしてること?
俺の楽しみ…楽しみ…。いくら考えてもわからない。こういうテーマに、他の人はどんな回答を寄せるのだろう?

 子供の成長?
子供は3人いるが、もう仕事を始めて独立している。蛙の子は蛙。これ以上の成長はあるまい。

 家族の団欒?
昔は家族5人でワイワイ食事をしたが、最近はスケジュールが合わなくなり、夕食は女房と二人。そのとき映画を必ず見ることにしており、最近は、川島雄三、増村保造、市川崑、小林正樹、本田猪四郎、三隅研次…ら、50〜60年代の日本映画の素晴らしさ、映像の斬新さ、脚本の見事さを堪能している。

 一日に最低一本の映画を見ること。しかし、それは近々映画の脚本を書くための勉強として始めたことだ。

 外食?
旨いものを食べるのは好きだが、行きつけのバーや鮨屋や洋食屋で満足し、新しい店や味を開拓する気になれない。

 旅行? 俺は仕事以外で旅行をしたことがない。新婚旅行も沖縄でのボクシング取材。子供が小さかった頃の家族旅行も、テレビや雑誌の仕事のついでに連れて行った。郷里の京都へ帰るも関西での仕事のついでに立ち寄るだけだ。

 音楽?
オペラから演歌まで、音楽を聴くのは大好きだ。しかし、これも仕事。最近はスポーツ関係の原稿以上に音楽に関する原稿依頼が多く、芝居やオペラを見ることも、コンサートに行くことも、スポーツ観戦と同様、締め切りが待ち受けるようになった。

 そういえば何年か前、「趣味は何ですか?」というアンケートがまわってきて、ハタと困った。俺には趣味がない。そのことに気づいたのだ。
それに、子供たちが仕事を始めるようになって初めて気づいたのだが、彼女たちは「休日」を楽しみにしている。俺は、そういう感覚を心に抱いたことがない。そもそも「休日」という感覚がない。

 毎日仕事。休日などない。仕事しかしない。仕事しかしたことがない。仕事以外にやりたいことがない。こういう人間のことを、ワークホリックというのだろうか…と、少々自分のことが心配になり、女房に訊いた。
「俺は仕事人間かな? ワークホリックかな?」

 女房は、答えた。
「何を言わはりますのん。あんたは毎日好きなコトして遊んではりますがな。気ぃつけんと、いまに罰が当たりまっせ」

 そういえば毎日を楽しくないと思ったことがない。罰が当たらないように、一所懸命真面目に仕事をしなければ……。

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