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12月1日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。愛知県の全市町村が対抗して参加する愛知駅伝に感激。スポーツとはこういう地域性に本質があるもんやで。ゲスト出演のドラゴンズ朝倉健太投手にも感激。この汗かきのピッチャーはかなり大物ですよ。番組終了と同時に飛び出して帰鎌。大植英次指揮大阪フィルのコンサートを聴くため鎌倉芸術館へ。曲はベートーヴェン8番と7番。Vnの第一と第二は対抗配置。コントラバス8本は金管の後ろ。しかしその意味がわからない演奏。大フィルの音は素晴らしく鳴っているからそれでいいのやろけど…特徴はなし…というかルーティンワーク。バーンスタインの最後の来日のコンサートのときにオーチャードホールで『ウェストサイド』を指揮した姿を見て以来やったけど…事故の後遺症やろか指揮棒を持たずに動きの少ない姿は大家の演奏とはいえるんやろけど…残念。帰宅するとインターネットからダビングしたCDのプレゼントが友人のOさんから届く。アンドレ・プレヴィン指揮オスロ響のベートーヴェンの7番。さすがリズミカル。ギレリスのシューマンP協もさすが。ドゥダメルのマーラー5番ライヴは1楽章を聴いただけで録音盤とは全然違う熱演。これはきちっと聴き直してからまた書きます。ひょっとして大名演?夜は野球日本代表アジア予選。まぁフィリピンにはね。こんなもんやで。

12月2日(日)
佐吉の散歩のあと大阪へ。朝日シンフォニーホールで金聖響指揮OEK(オーケストラ・アンサンブル金沢)のブラームス。ハイドンの主題による変奏曲がこんなにオモロイとは思わなんだ。そして3番。小編成のオケが美事なピアニッシモからフォルテッシモまでを奏でてブラームスを生まれて初めて好きになってしまう。そして清水和音さんとのP協2番。いやはや凄い演奏。オケと一体になったピアノがドイツロマン派本流ってこんなにオモロイもんなんやでと教えてくれた。かつて上半身ヌードで若い女性の人気を集めたピアニストがオッサンになって円熟。最高のブラームスの夜。演奏後聖響さんといろいろ話して共著の『ベートーヴェンの交響曲』に聖響さんのファンの人からサインさせられたりしてホテルへ。大阪泊。

12月2日(日)つづき
ホテルで野球北京五輪アジア予選日本vs韓国戦TV観戦。いやぁしびれました。星野監督の采配も最高。ケンシンも岩瀬も内角低めの一球が最高。点差は1点でも底力と実力の差をきちんと出して勝ちました。お見事。しかし見ていて疲れた。

12月3日(月)
関テレ『痛快エブリデイ男がしゃべりでどこが悪いねん』生出演。初めて中条きよしさんと一緒。あっ。この人京都の俺の家の裏のマンションの住人やったのに…と番組後に気づく。東京へ戻って産経新聞社出版の『モーストリークラシック』の企画でグルメ評論家の山本益弘さんと対談。「見知らんフランス人」の書いた本についていろいろ教えていただいて面白かった。最近の世界の料理界の注目はスペインらしい。リーガ・エスパニョーラと連動してるのかな?それにかつてファッション界での活躍の際立った日本人は最近は料理界での活躍が目覚ましいとか。日本の音楽界とスポーツ界はどう評価すればエエのんかいな…。

12月3日(月)つづき
帰宅して日本対台湾TV観戦。バッチリ勝利!けど日本人は基本的に判官贔屓やから敵を見下して勝つのんがホンマに下手やな。いや星野ジャパンはグレイト・ベースボールをきちんとやってくれたといえる。視聴者がハラハラしっぱなしやったのは多分にアナウンサー(メディア)のせいやで。確かに韓国も台湾も強うなって日本との差が縮まってその長期的原因は甲子園大会だけにウツツをぬかして世界大会を無視してる高野連にも責任があるんやろけどまだ実力差のある相手に堂々と勝つ(応援する)方法を日本人はわかってへんように思える。「先制点が大事です」「先制点は入りましたけどまだ1点です」「国際試合では何が起こるかわかりません…」確かにその通りやけどブラジルやイタリアのサッカーはそないにマゾヒスティックに騒がへんで。けど星野監督は選手を信頼して選手はその信頼に応えたな。サブローのスクイズも一二番の連打も四番のホームランも流石やで。藤川もエエときに出てきた。昨日やったら怖かったな。まぁエエけど。堂々たる勝利。MVPはいろんな意味で宮本と矢野…ですよ。

12月4日(火)
大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演。ピーコさんに「なんで野球の話をそんなに真剣にできるの?」なんていわれながら五輪アジア予選星野采配を絶賛。連日の新幹線で林俊雄『スキタイと匈奴遊牧の文明』とポール・オリバー『世界の宗教を読む事典』の読み残しの部分読了。どっちも面白かったけど新たに読み始めた矢田浩『鉄理論=地球と生命の奇跡』(講談社現代新書)の「鉄」から「生物」への展開が意外な面白さ。帰宅前次女からメールで駅で待ち合わせ。日頃は入らないエキナカのスナックに入ると酔っぱらったサラリーマンのおっちゃんたちが激論中。まるで竹中直人とイッセー尾形の芝居を見てるみたい。勉強になった。たまには違う場所で飲まんとあかんな。帰宅すると『ベートーヴェンの交響曲』3刷重版の知らせ。2刷よりも部数が多い。ヨッシャー売れてまっせえ。まだの人は買うてやぁ!

12月5日(水)
疲れてないと思っても4日で6度の新幹線移動はけっこう心身に影響を与えるみたい。その証拠に仕事がしたくない(関係ないか・笑)。昼間からマルクス・ブラザースの映画『オペラは踊る』を見て一人で笑う。何度も見て隅から隅まで知ってるけどやっぱりチコとハーポのピアノやハープは絶品。晩飯映画劇場は市川昆監督『細雪』。岸惠子佐久間良子吉永小百合多岐川裕美そして石坂浩ニ…のネイティヴと違う関西弁にはどうにも違和感があって映画全体のリズムについていけず。『ぼんち』の世界を見事に描いた市川監督にもこればっかりはディレクションでけへんかったな。「サルトルはんがお越しやしたときに谷崎の夜の生活はって訊かれたんですけどそんなん人様にお話しするこっちゃおへんよって…」とNHKで語ってはるのを聞いたことのある谷崎松子さんが監修してたけど無理なもんは無理なんやな。『ゲロッパ』の西田敏行の関西弁はネイティヴに聞こえたけど…。

12月6日(木)
原稿の校正をこなして夕方から大船にあるホテルへ。MBS『知っとこ!』のVTR取材。星野ジャパンについて喋る。そのあとルミネ大船店にある新星堂へ。注文しておいた市川雷蔵の『大菩薩峠BOX』が入荷したのですよ。正月に見よ。そのあと『鮨処もり山』へ。滅多に座らへん奧の座敷で坂井保之さんと対談。企画は徳間書店『月刊エンタメ』。坂井さんの話はいつ聞いても面白い!長く生きた人の話には耳を傾けなあかんで…というのはもうすぐそうなる自分の話も聞いてほしいという我田引水ですけどね(笑)。

DVD
川島雄三監督『貸間あり』
川島雄三監督『貸間あり』

12月7日(金)
ぼちぼち次の本の原稿を…やけどなかなか手につかんな。アイドリングが長いのはいつものことやけど…と思ううちに夜。サッカーをちょっと見てこれは見んでもエエと判断して晩飯映画劇場『貸間あり』。『幕末太陽傳』現代版。川島雄三監督は最高!素晴らしい映画のリズム。フランキー堺は当然のことながら淡島千景も小沢昭一も桂小金治も益田喜頓もエエなぁ。浪速千栄子の関西弁最高やな。喋り方も話の中味も外見も生前の婆さんそっくりやで。それにしても素晴らしい脚本やな…と思たら藤本義一先生やった。そんなことも知らんと何度も藤本先生にお会いしたり書評でタイガースの本を褒めてもろた礼状書いたり…。やっぱり昔のことを知らんとあかんな。しかしこの時代の日本映画をあんまり見てへんのは子供の頃や若い頃にアメリカ映画にかぶれたからやろな。それにちょっとでもエロチックな映画は大人だけのもんやったしな。昔は映画館に入るのは不良やって言われたもんな。若いときは真面目やったから惜しいことしたもんやで。

12月7日(金)つづき
岡田武史監督正式決定!精神的にも家庭的にも絶妙のタイミングやな。そういえば以前某人物のパーティで岡田さんがジャズ・ピアニストの故・世良譲さんの伴奏で『想い出のサンフランシスコ』を歌うたあと「代表監督に復帰して!」と挨拶したら世良さんが音頭をとって「岡田コール」を始めてパーティ会場が「オッカッダ!オッカッダ!」の大合唱に…なんてこともあったな。けど凄い星のもとに生まれてる人やな。

12月8日(土)
某雑誌記者から電話。「日本代表は岡田監督で大丈夫でしょうか?」「大丈夫ですよ。カザフスタンで食べたきつねうどんの味を思い出してやってくれるはずです」「?????」カザフスタンで突然監督を言われて落ち込んだ岡ちゃんのためにきつねうどんをつくってあげた日本人コック長はエラかったで。うどんを茹であげる網から手作りしたんやもんな。

DVD
川島雄三監督『しとやかな獣』
川島雄三監督『しとやかな獣』

12月8日(土)つづき
雑務処理の一日。晩飯映画劇場は川島雄三監督第3弾『しとやかな獣(けだもの)』。マイッタ。日本映画最高傑作家庭劇。伊藤雄之介も山岡久乃も若尾文子も最高の演技。新藤兼人の脚本も見事。それにしても川島雄三という人がこれほどの天才やとは知らなんだ。溝口小津黒澤木下稲垣市川大島篠田若松…については俺の周囲にも語る人がいて見る機会もあったけどこの歳になるまで川島に接する機会がなかったのは痛恨の極み!こんなに凄い映画監督やとは知らなんだ。鮮やかな物語の展開。軽妙な台詞まわし。大胆なカメラワーク。時代に対する深い洞察。すべてに才気溌溂たる最高級の映画監督。ここまでの人は若死にするのかも。いやぁマイッタ。全部見なあかんな。

12月8日(土)書き忘れ
昼間Jリーグで最も面白い一戦「J1J2入れ替え戦」をTV観戦。選手が懸命になってやるスポーツというのはホンマに見ていて面白い。森岡・秋田…懐かしいなぁ。京都の昇格を喜ぶ以上に広島が可哀想。けどこれもスポーツやから。

12月9日(日)
ガキ息子の音大の文化祭?誰が聴きに行くか。親の出る幕やない。昨日に続いて雑務処理の一日にも飽きたので次女を相手にゼッフィレッリの演出の面白さについて『椿姫』や『ムッソリーニとお茶を』を見ながら講義。他人に喋ると喋る自分のほうが勉強になるもんな。晩飯は?と思たらガキの文化祭を聴きに行った母親がガキと新橋のレストランに行くというので次女と一緒に外出。旨かった。

BOOK
荒俣宏『奇想の20世紀』(NHK出版)
荒俣宏『奇想の20世紀』(NHK出版)
DVD
『お熱い夜をあなたに』
『お熱い夜をあなたに』

12月10日(月)
原稿書かなあかんのに書けへん。くそっ。原因不明。こういうときは「待つ」以外にない。ボケーッと待つのもオモロナイので本を読み出す。荒俣宏『奇想の20世紀』(NHK出版)めちゃめちゃ面白い。20世紀は夢があったな。阿呆ができたな。原稿ますます書けへん。21世紀が原因かな。浦和レッズ勝利!主催国枠なんてつくったもんやからつまらんドキドキが増えてしもたやないか。あ。ACミランとの試合の日は聖響さんの第九の日や。という以上に俺も仕事や。喋らなあかん。まさかサッカーの話はできひんな。まいったな。遅い晩飯映画劇場は気分を変えてビリー・ワイルダー『お熱い夜をあなたに』。台詞は面白いけどリズムがちょっとたるい。舞台がイタリアやからかな。しかし流石はワイルダー監督。構成が粋ですな。ジャック・レモンの演技は最高。

DVD
『恋人よ帰れ!我が胸に』
『恋人よ帰れ!我が胸に』

12月11日(火)
見事にコラム2本書きあげる。年内に残る字を書く仕事は単行本だけ。気分よく晩飯映画劇場は昨日に続いてビリー・ワイルダー『恋人よ帰れ!我が胸に』。ウォルター・マッソーの演技は流石。ジャック・レモンは文句なし。しかしこのリズムはワイルダーのもの?時代のもの?と考えてたら深夜に電話。なんやてええー!と思わず声を張りあげたくなる突然の凶報。まいったな…。けどシャーナイな。ナンノコッチャ。

12月12日(水)
文化放送とRKBのラジオをこなしたあと佐吉の散歩をして明日の『聖響の第九』のトークの原稿をメモづくり。しかし気がのらん。まぁなんとかなるやろ。ナマモノにはハプニングがあるもんなんやな。晩飯サッカー劇場はアフリカの星(エトワール)を応援したけどボカはやっぱり強いで。明日の浦和vsミラノは仕事で録画でしか見られへん。あいつは見たらアカンで。見たら怒るで。ナンノコッチャ。

CD
ブラームス『交響曲3、4番』
ブラームス『交響曲3、4番』

12月13日(木)
なんと!今日は『聖響の第九』本番の日やというのに一昨日金聖響さんがぎっくり腰をやってしまい指揮台に立てなくなってしまった。ほんでどないするねんと思てたら代役がなんと!ダニエル・ハーディング!代役というにはもったいないくらいの若手の大物。聖響さんと無二の親友でもあり音楽に対するアプローチのベクトルも同じ方向。ホンニよう来てくれました!コンサートのトークは一人でやらなアカンようなってしもたけど…これは気合いを入れてやらんと…と思いながら川崎ミューザへ。

12月13日(木)つづき
朝成田に着いたダニエルはその足で川崎入り。電話で聖響さんから引き継ぎをして午後3時過ぎゲネプロのためミューザ入り。久しぶりにダニエルと会って握手。"Do you remember me?""Yes, of course."すぐに新日フィルと練習開始。ところが全身を使っての迫力ある棒振りで何度も繰り返し。ヴァイオリンのボウイングまでチェックし直して1楽章だけで1時間。スタッフ全員真っ青。粘る人やなぁ…プロやなぁ。小生は練習を聴きながら(素晴らしい!)トークの原稿の最終チェックや久しぶりに逢ったバリトンの師匠の福島明也さんと話したり。ステージでは客入れぎりぎりまでダニエルが4楽章のチェック。どないなるねん…。

12月13日(木)つづき
会場の外では「大阪から新幹線に乗ってきたのに聖響は指揮せんのか…」と抗議する人もいたらしい。しかし代役がダニエルということでほぼ平穏。開演前に今年最高の本と言える『モスラの精神史』を書いた小野俊太郎さんが楽屋を訪ねてくれる。オケも合唱も独唱者も慌ただしさの中に緊張感が走り午後7時の5分押しで小生がステージへ。聖響さんのぎっくり腰のこと…代役ダニエルの紹介…今夜のオケの規模や配置やピリオド奏法…等について話す。ダニエルの名前を口にしたところで拍手が湧いたのでホッとする。トークをきっちり15分で終えて客席へ走る。さぁコンサート!

12月13日(木)つづき
いやぁ凄いコンサートでした。ダニエルの全身を使った美しい棒振りから出た響きに会場を覆う大拍手。朝まで続くかと思えるカーテンコール。突然の代役やったので瑕瑾を言いだしたら切りはないけどたった2時間半の練習だけでココまで持ってきたダニエルの棒はやっぱり魔法です。お見事!けど疲れた。それに新日フィルの演奏が凄かっただけに聖響で聴きたかった…まぁ若いからまた機会はある…。終わって楽屋に来てくれた小野さんや御近所さんを引き連れてダニエルに挨拶。全員に握手してくれる。気さくな若者や。けど疲れた。弁当も食うてへん。終わって興奮のなか『213』へ。コンサートを聴きに来た常連のお嬢さん二人も来ていて大興奮。スタッフの皆さんはもっと大変やったやろけど長い一日。素晴らしい一日でした。『213』の常連さんから浦和vsミラノの結果を聞く。「素人目にも実力差が…」そらそやろな。

12月13日(木)つづき
ドタバタの一日の中で『ベートーヴェンの交響曲』さらに重版の通知。たちまち4刷やで。表紙の聖響さんの写真がよかったんかな?いや本はやっぱり中味やろな(我田引水・笑)。

DVD
『雁の寺』
『雁の寺』

12月14日(金)
なんやしらん昨日の疲れがどっと出てポケーッとする一日。たまにはエエやろ。午後からせっせと部屋の片付けとビデオサッカー鑑賞。なるほどポイントは2点。個人の能力と高度なディフェンスやな。晩飯映画劇場は『雁の寺』。スゴイ!ホンマに川島雄三の作品は全部見なあかん。カメラアングルも役者の使い方も天才的。最後のぶっ飛んだ展開には唖然呆然ただただ感服。山茶花究も小沢昭一も凄い。若尾文子は論外の凄さ。マイッタ…と思いながら林英哲さんのコンサートが今夜だったことを思い出す。昨日までバタバタしてて忘れてしもた。岡ちゃんは行ったのかな?まさか…。

12月15日(土)
桐蔭横浜大学のスポーツ健康政策学部開設記念セミナーに出席。横浜FC会長の奥寺康彦さんと鬼太鼓座座長松田惺山さんと共に楽しくパネルディスカッション。テーマは「スポーツの殻を破ろう!」思い切り破らせていただきました。松田さんとは音楽の技術は最高に凄くても全然面白くない演奏ばかりする有名なオーケストラがあるということで意見が一致。奥寺さんとは楽屋話で岡ちゃんがフリーでいたことは日本サッカー界にとって最高にラッキーだったということで意見が一致。昨日英哲さんの太鼓を聴きそびれて今日鬼太鼓座の太鼓を聴くのも妙な気分。しかし面白かった。娘が深夜に帰って来るというので『213』で時間つぶし。初めて会った常連さんの老翁や若い高校の先生3人組と意気投合。大いに盛りあがる。さぁ明日から正月準備かな…。まだ早いか…。

12月15日(土)つづき
MLBがドーピング問題で揺れてる。しかしこの問題は銃の規制と同じくらい難しい。薬屋はドーピングの薬で儲けドーピングを隠す薬で儲けドーピングの検査薬で儲けてる。禁酒法時代にギャングが儲けたのと同じ構図。かといってドーピングを解禁すれば子供に広がるのは自明。はたしてドーピング(服薬)が日常となった現代社会でスポーツマンはどうあるべきか…。

12月16日(日)
浦和よかった!2度のディフェンスミスのうえPKで負けたら悔やまれてた。よかったよかった。残り6秒で逆転した関学も凄かったな。けどやっぱりACミランやで。まいったな。こういう凄いプレイを幼いときから常に目に焼き付けた子供が育たんとアカン。俺等の小学生の頃は体育でサッカーやったら手を使うたらあかんもんやから両手を後ろに組んで動いてた奴がいたくらいやもんな。それにしても浅田真央の根性はたいしたもんやな。しかしキム・ヨナのほうが上やな…。ヴァンクーバーはまだ先やけど…。しかし世の中スポーツだらけやな。早よ『スポーツジャーナリズム』の本を仕上げなあかんな。

CD
『山下洋輔/ピアノ協奏曲(エンカウンター)+山下洋輔のボレロ』
『山下洋輔/ピアノ協奏曲(エンカウンター)+山下洋輔のボレロ』

12月17日(月)
一日中音楽の勉強。小方厚『音律と音階の科学 ドレミはどのようにして生まれたか』(講談社BLUE BACKS)を読みながらavexから送られてきたCD『山下洋輔:ピアノ協奏曲第1番即興演奏家の為の《エンカウンター》』を聴く。バックは佐渡裕指揮イタリア国立放送交響楽団。3年前のトリノ公演。頭のなかが音で満たされる。音楽ってホンマに素晴らしいもんやで。夕方に残念ながら廃刊になってしもた『スポーツ・ヤァ!』の元編集長来宅。新スポーツ雑誌刊行に向けてガンバッテはる。そらやってもらわんと「スポーツ読み物」の雑誌はあっても「スポーツ・ジャーナリズム」の雑誌がなくなったんやもんな。一緒に『鮨処もり山』へ。新しくスポーツ新書の刊行を考えてる出版社の人と打合せ。仕事引き受けてしまう。マイッタナ。引き受けてばっかりで仕事だらけやで。もと阪神コーチ名参謀の島野さんが亡くなった。いっぱい野球のこと教えてもろた人だけに悲しい。合掌。

BOOK
中里介山『大菩薩峠』(ちくま文庫)
中里介山『大菩薩峠』(ちくま文庫)

12月18日(火)
土曜日のオペラ講座の準備でJ・P・ポネルとM・ハンペの演出した舞台を見まくって編集。色彩ではない光の重要性を学ぶ。晩飯映画劇場はジャジャーン市川雷蔵『大菩薩峠』。小説のほうは2度挑戦して2度とも全10巻のうち6巻でダウン。映画はとりあえず全3巻のうち2巻まで見る。あの小説の細部の面白さを映画化するのは不可能やろな。けど雷蔵の醸し出すニヒリズムには満足。もっとニヒルでもええけど映画なら人間の弱さも出さんとドラマになりにくいのかな。しかし「太陽が輝いたから」ピストルを撃ったムルソーと同じキャラを侍で描いた中里介山に改めて感服。マストロヤンニの『異邦人』も見直しとなった。中村玉緒大熱演。

12月19日(水)
朝文化放送でMLBのドーピング問題とRKB毎日でハンドボールアジア予選やり直し問題(アラブ諸国の王族スポーツ問題)を語る。どっちも難しい問題やで。ドーピングは遺伝子レベルや身障者臓器移植者まで考えたら軽々に「悪いこと」といえない問題やしアラブ王族スポーツは審判買収だけやなく審判に銃を突きつけるほどの問題やし…。昼から大船の量販電器店へ。古いコピー機の調子がおかしくなったのでスキャナー付のカラーコピー機に買い換える。3万ちょっとで買えるのか。安なったなと思て持ち帰り余ってるPCに接続。文字の読み取りはやっぱり誤字変換ミスだらけやな。安いだけはあるな。シャーナイな。

DVD
『女は二度生まれる』
『女は二度生まれる』

12月19日(水)つづき
昨日2巻まで見て気になってシャーナイので夕方『大菩薩峠』の第3巻を見る。そうか。ニヒリスト机龍之介は子供の名前を叫びながら台風と洪水で流されるか。まぁ一神教的神が存在せえへん世界で「完結」するにはコレ(自然の力を出す)しかないのんやろな。晩飯映画劇場は川島雄三監督『女は二度生まれる』。凄い!またしてもマイッタ。この物語って女性版机龍之介ともいえるやないか。脚本も構成も映像も若尾文子の演技も見事。靖国神社でのロケと台詞にも驚嘆。それ以上に今回は「音」の使い方に感服。これで川島雄三は5本見たけどどれも超一級。繰り返し何度も見たくなる。いや何遍も見て勉強せんといかん。あの映像の構図と音の使い方を…。はっきり言うてオズクロサワ以上やで。女の描き方はホフマンシュタールとR・シュトラウスの『ばらの騎士』並みやで。しかし悪いのんは女か男か。小ゑんか机龍之介か。どっちやろなぁ?

DVD
『暖簾』
『暖簾』

12月20日(木)
原稿を書く仕事というのは尻を叩かれんとでけんもんか。我ながら情けないけど書き下ろしはアイドリングばっかりでなかなか手が着かん。いったん手が着いたら早いんやけど…。そのうち佐吉の夕方の散歩の時間。御近所を一周歩き終わると明日のNHK番審委の準備。そのうち晩飯映画劇場。今宵は川島雄三第6弾『暖簾』。原作は山崎豊子。川島色が押さえられた見事な文芸映画。何といっても森繁久弥の父子二役がお見事。しかしそれ以上に自分のテテオヤを思い出してしまった。「もう親の世話になんかならんわい!」「その言葉忘れるなよ!」そんなときもあったなぁ。どこの父子も一緒やな。しかし戦争の時代を生きた人はエラかったなぁ。エエ映画やなぁ。

12月21日(金)
渋谷へ。ハチ公前の喫煙所で煙草を吸うと目の前が宝くじ売り場。当たらへんのはわかりながら6000円で20枚買うてしまう。すぐ後ろの人が「連番で100組」というから驚いて振り返る。頭のなかで計算。1千枚30万円分か。コラあかん。早くも負けた。NHKへ。関東甲信越地方番組審議会に出席。「高校駅伝のスポットが面白い」という意見が出たので「全国ネットでの高校体育の“宣伝”は高校野球と同様の弊害をもたらすだけ」と反論。審議会のあとの簡単な飲み会でNHKの人から「がんばってる高校生を応援するだけ」と反反論されるが「学校はスポーツをする場でなく体育に止めるべし」との持論で反反反論。スポーツと体育のネジレを善意で推進されるのが日本のスポーツにとって最悪やで。新幹線で名古屋へ。名古屋駅で背後からどでかい男が現れ「チワッス」と挨拶されたので驚いて振り返るとドラゴンズの山本昌投手。「オフはゆっくり休んでる?」「選手の結婚式が多くて忙しいですね」「来年は大記録に向かってガンバッテや」「はい」エエ男やで。某所で楽しく忘年会のあと名古屋泊。

12月22日(土)
東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。ゲストコメンテイターのやくみつるさんに相撲部屋抜き打ち視察の“真相”を伺う。「ちょっと早く行っただけ」らしい。スポーツコーナーのゲストが萩本欽一さん。峰竜太さんのリューターズとゴールデンゴールズが闘うらしく久しぶりに御挨拶。もう一人のゲストは井端選手。北京五輪予選韓国戦での見事な代打送りバントのときは代打指名から逃げたいから隠れていたのに名前を呼ばれてしまいガチガチに堅くなって二塁走者が阿部から代走荒木に替わっていたのにも気づかなかったという。野球の国際試合は数が少ないから慣れてもいないし怖いもんやな。それでも成功させる井端は流石。

DVD
ヘンデル『セルセ』
ヘンデル『セルセ』
ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』
ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』
『洲崎パラダイス赤信号』
『洲崎パラダイス赤信号』
BOOK
羽田正『興亡の世界史15東インド会社とアジアの海』(講談社)
羽田正『興亡の世界史15東インド会社とアジアの海』(講談社)

12月22日(土)つづき
テレビ出演のあと中日文化センターでオペラ講座。ミヒャエル・ハンペとJ・P・ポネルのモノトーンの光の使い方について解説。それにしてもハンペが演出したヘンデルの『セルセ(クセルクセス)』は見事な舞台と演奏。バロック・オペラにはまりそうや。帰宅したら長女がインフルエンザになったとかで家におる。「タミフル飲んだから突然狂い出すかもしれないからよろしくね」「阿呆か。もうとっくに狂うとるのにそれ以上狂わへんわ」。『洲崎パラダイス赤信号』のDVDが届いてたので少々遅い晩飯映画劇場。川島雄三監督第7弾!初期の作品。重い内容を見事に爽やかに逞しく描いた佳品。完成度はのちの作品に較べて低いけれど鮮やかな手並み。ダンプカーの扱いが面白い。『三丁目の夕日』のレベルでは絶対に描くことのできない昭和の深層(真相)。お見事。

12月22日(土)つづき
追記。名古屋往復の新幹線で羽田正『興亡の世界史15東インド会社とアジアの海』を読む。面白い!という以上に勉強になる。そうか。湾岸戦争アフガン戦争イラク戦争というのはヴァスコ・ダ・ガマ以来の西洋人の伝統なんやな。それにしても喜望峰を廻った男がこんなに悪い奴やったとは世界史では習わんかったで。

12月23日(日)
ボチボチ今年も店仕舞い。やらなあかん仕事はいっぱいあるけど朝から仕事場の掃除をしたら机に向かう気がなくなる。シャーナイので昼間からテレビ。佐渡裕さんの『一万人の第九』。佐渡さんいつも頑張ってるなぁ。今年は同じ日に聖響さんのブラームスに行ってしもたけどやっぱりコレは凄い催しやで。続けて映画。市川雷蔵主演『ある殺し屋』。タイトルと『大菩薩峠完結編』の森一生監督ということで期待したけどペケ。脚本がアカン。しかしアカン映画を見ると何が不足してるかがようワカル。この映画の場合は人物の背景。詳細に描く必要はないけどキャラの人生の必然性と一貫性は必要。机龍之介もどきの殺し屋が麻薬の話に乗ったらあきまへん。

12月23日(日)つづき
夕方からはNHK-hiの毛利衛企画特集でプランク時間の話やら宇宙の始まりの話やらアインシュタインやら気象変動やらのドキュメンタリーを延々と見る。面白かった。イギリスやアメリカの科学番組は作り方が巧み。途中M1グランプリの決勝だけ見る。ええーっ。笑い飯が落ちとる。ナンデヤネン。しかし敗者復活から優勝したサンドウィッチマンはおもろかった。叫ぶことの多いハイテンション現代プレスト漫才に迎合せえへんアンダンテのテンポが絶妙。しかし最近はテレビの漫才番組が少のうなったなぁ。

DVD
悲しみよこんにちは
『悲しみよこんにちは』

12月24日(月)
朝佐吉の散歩に出たら世の中静か。ナンデヤネンと思たら三連休とか。忘れてた。またもや仕事をする気が失せる。もう正月モード。いや歳末モードで年賀状作り。晩飯映画劇場はチョイト趣向を変えてアメリカ製のフランス映画『悲しみよこんにちは』。仕事の関係でサガンの作品を読み直さんとアカンことになったからまずは映画と思たけど古さを感じる。昔見たときはジーン・セバーグを可愛いと思い見直した今はデボラ・カーの色気にマイッタけどどうも古い。何故そう感じるのか。当時の流行をあらゆる面で取り入れたから?そういや川島雄三のテーマは普遍的やもんな。けど女性心理としては普遍性はある。これはチョイト深く考えたいこっちゃな。

12月25日(火)
朝昼大掃除。半日くらいでは片付きまへんな。夕方から世田谷の東京メディアシティ(旧砧撮影所)へ。新春特番『みのもんたの明るいニッポン!!未来はどっちだ!?』VTR収録。どんなふうに喋ったらええのんかワカランかったのでディレクターに訊くと「ヴァラエティですから思いっきりどうぞ」とのこと。延々3時間以上。関テレ制作(CX系全国ネット)やけどいかにも東京的な番組やったな。疲れた。テレビ出演慣れしてる人たちは元気やな。中味は…まぁ見た人が判断してくれるでしょう。終わって『213』へ。クリスマスということで宗旨は違うけど痛飲。

DVD
わが町
『わが町』
BOOK
ジェフリー・ペイザント『グレン・グールド、音楽、精神』(音楽之友社)
ジェフリー・ペイザント『グレン・グールド、音楽、精神』(音楽之友社)
西原稔『クラシックでわかる世界史』(アルテスパブリッシング)
西原稔『クラシックでわかる世界史』(アルテスパブリッシング)

12月26日(水)
大掃除のキリがつかへん。年賀状もまだ出来あがらへん。ま。毎年のこっちゃ。大晦日にバタバタするんやな。その前にゆっくり美容室へ。髪の毛切ってもろて銀行で月末の振り込み処理して注文してたジーパン買うて本屋へ。正月に読む本を買い込む。ジェフリー・ペイザント『グレン・グールド、音楽、精神』(音楽之友社)ニコエアス・アーノンクール『古楽とは何か』(同)西原稔『クラシックでわかる世界史』(ARTES)『ブラームス』(音楽之友社)中村政則『戦後史』(岩波新書)工藤光子/中村桂子『見てわかるDNAのしくみ』(講談社ブルーバックス)こんだけあったら退屈せんやろ。『213』でチョイトビールを飲んだあと晩飯映画劇場は川島雄三第8弾『わが町』。原作はオダサク(織田作之助)。面白くないわけがない。辰巳柳太郎も殿山泰司も北林谷栄も南田洋子も凄い熱演。泣き方が凄い。リアルという以上に人生の深みを感じさせる泣き方。最近のTVドラマには存在しない泣き方。明治末から戦後までの長い歴史を描きながら映画のテンポが抜群。川島雄三には感服しっぱなし。

DVD
銀座二十四帖
『銀座二十四帖』

12月27日(木)
新年三が日中に締め切りとなってる原稿を書く。やっぱり三が日には仕事しとないもんな。これで字を書く仕事は年賀状の宛名書きを残すのみ。晩飯映画劇場は川島雄三第9弾『銀座二十四帖』。助監督は今村昌平。巧い作り方やなぁ。日活アクション路線を入れながら川島色をきちんと出してる。森繁久弥の歌もナレーションも巧いなぁ。若いプロ野球の投手役の岡田真澄がダルビッシュにそっくり(逆か)なのには笑った。15歳の浅丘ルリ子が可愛い。昭和の映像記録資料としても濃密にして高度。凄いもんやなぁ。

12月28日(金)
大阪へ。MBS今年最後の『ちちんぷいぷい』生出演。角アナ与良さん涌井先生ざこば師匠堀ちえみさんらと今年一年を振り返る。いろんなことがあったなぁ。けど毎日の株価報道と一緒で総じて一喜一憂しすぎやな。メディアの悪い癖やな。来年はデーンと構えることにしょ。番組終了後西アナ山中アナおさかな博士とお好み焼き屋どんどん亭へ。途中近所の駄菓子屋のおばちゃんに年末の挨拶をする西アナの姿を見てMBSの体質を垣間見る。エエなぁ。お好み焼きもメチャメチャ旨かった。明日が早いのでその後の飲み会はキャンセルさせていただいてホテルへ。大阪泊。

DVD
監督・ばんざい!
『監督・ばんざい!』

12月29日(土)
朝5時半起き。6時半の迎えのタクシーに乗ってMBSへ。今年最後の『知っとこ!』初生出演。ざこば師匠に「スタジオ初めて?うっそー」と言われる。「他の番組でよく会ってるから」と中尾彬さん。お久しぶりです。すっかりお元気そう。番組内で「ちちんぷいぷいなんかで御迷惑かけて」と言われて恐縮。いえいえ代役はありがたかったです。番組終了後ビールで簡単な打ち上げ。京都へ。珍皇寺で父母のお墓を洗う。どなたか御参りしてくれてたようで花がいっぱい。ありがとうございます。すべての仕事を終えて帰鎌。晩飯映画劇場は北野武『監督・ばんざい!』。駄作です。駄作が悪いわけではなく社会的テーマの枯渇せざるを得ない現代社会における破滅願望の表現者が商品と作品の狭間で悩む心情が理解できた。しかし駄作は駄作。映画作品に仕上げるならもっとパロディックなひねりがほしかった。商品としての映画でエエのに…川島雄三みたいに…。

12月30日(日)
昨日で仕事モードが完全に消えたら気が抜けて…。庭と家の前の落ち葉でも掃こうかと思たけど風が強くて無理。とりあえず年賀状の宛名書き。五分の一ほど仕上げる。毎年のことやけど三が日いっぱいかかるな。夕方から鏡餅など正月用の買い物。ついでに晩飯は「鮨処もり山」へ。お客さんと戦争映画の話で盛りあがる。『パットン大戦車軍団』が最高ということで意見が一致。ナンチュウ一年の締めくくりや。関西に帰ってた朋友が小生が出演してるテレビ番組を見て関東との違いに仰天したとブログに書いてた。どうや。関西の番組のほうが呆れ返るほどオモロイやろ。中国の「偽ディズニーランド」の話題でも「シンデレラ城かってルートヴィヒU世のノイシュヴァンシュタイン城の物真似でっせ」なんてコメントできるもんな。関西のテレビ番組は基本的に自分の目の前に転がってる石は思い切り蹴飛ばすけど遠くにある石までは蹴飛ばしに行かへんからね。

12月31日(月)
大晦。落ち葉の掃除。佐吉の部屋の掃除。ガラス拭き。年賀状宛名書き。早よ仕事がしたい。格闘技と紅白歌合戦のチャンネルをまわしながら酒。つまらんな。映画見てたほうがマシやったな。後悔納め。けど『行く年来る年』のあとのNHK-hiの『美の壺』の連続再放送は面白かった。ガレやドーム兄弟のアールヌーヴォーのガラスにも魯山人の食器にも感服。こんな番組知らなんだ。嫁はんと二人の静かな年越し。ガキどもは遊び呆けとるのか…。ま。若いときはシャーナイな。

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