ナンヤラカンヤラ
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タマキのナンヤラカンヤラ バックナンバー 2008年3月
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2003年 11月12月
DVD
『生きものの記録』
『生きものの記録』

3月1日(土)
仕事せなアカンのに斎藤英喜『読み替えられた日本神話』(講談社現代新書)読み出したらオモロウて止まらん。神話は時代によって替えられるんや。昼飯映画劇場で『壬生義士伝』。見ながら困った。日本の映画はここまでパワーが落ちたか。主役の中井貴一は悪くない。けど長すぎる。リズムが悪い。冗長の極み。感動の押し売り。原作をなぞるだけ。映画としての意思がない。細部が粗雑。血は流れてもリアリティがない。役者が人を殺す武士の顔やない。貧しい農民が太ってる。安手のTVドラマに毛が生えた程度。これが作品賞?時代のせいなんかいなぁ…。晩飯映画劇場は黒澤明まだ見とらへんシリーズ第1弾『生きものの記録』。安手の映画を見たあとはきちんと映画として成立してる作品に満足。三船の頑固老人の演技も見事(佐藤浩市と大違い。監督力の違い?)。しかし黒澤映画は女性を描けへんのやなぁ。とはいえ老人が頑固になるとシャーナイな。後に引けんのやな。石原都知事もおんなしやで。新銀行も東京五輪招致も早よ撤退しなアカンで。本と映画の合間にゼロックスカップ(審判アカンで)のど自慢グランプリ大会(プロの登竜門にしたらアカンで)世界卓球(日本男子ガンバッタ。素晴らしいラリーの応酬)。本と映画とTVの一日。ちょいと大きな仕事にとりかかる前はいつもこんなんやな。アイドリングに時間かかるな。

DVD
『兵隊やくざ』
『兵隊やくざ』

3月2日(日)
部屋の掃除。本の整理。クタクタになって仕事する気失せる。前日に続いて『読み替えられた日本神話』読了。仏教との混淆や神道の成立から国家神道やマルクス主義史観や宮崎駿にまで至って複雑怪奇でオモシロイ日本神話の全貌がよくわかった。晩飯映画劇場は増村保造全部見たれシリーズで『兵隊やくざ』。20歳前後で初めて見たときは痛快感が強く印象に残ったけどコレはまったく見事な反戦映画です。脚本も見事。勝新と田村高廣の演技も台詞も見事。若い人に見てほしいな。

3月3日(月)
佐吉の散歩のあと迎えのハイヤーに乗ってTBSへ。『ピンポン』生出演。テーマは「王子の作り方」。ハニカミ王子・ハンカチ王子・テニス王子etcについてコメント。こういう俗な話題のほうがスポーツの本質を喋れるのんやけど時間がないなぁ。シャーナイなぁ。フラストレーションは募らせんようにしようと思うけど煙草は進むなぁ…と思いながら往復のハイヤーで『興亡の世界史09モンゴル帝国と長いその後』を読み進む。素晴らしく面白い本!しかしテレビのテーマと関係ない本を往復のクルマのなかで読んだりするのはアカンかなぁと反省。苛々しながら雑務処理。晩飯映画劇場は増村保造全部見たれシリーズ第X弾市川雷蔵主演『陸軍中野学校』。面白くなくはないけどチョット無理がある。この無理は現在のTVドラマにつながる無理。まだ言葉では表せへんけどコレは大きなテーマですな。

3月4日(火)
ナンヤネンこれは!いったいドーユーこっちゃねん!ハイパテ(註・看護師用語hypertension)の俺の血圧がビヨ〜ンと50以上駆け上がるような怒り心頭の事態発生。いや冗談ではない。テレビがアイデアをパクリやがって!かなり悪質な事態なので毅然たる対処を考えるべく編集者や関係者とメールや電話で緊急相談。相手方の対応を待つため詳しくは書けませんがコレは赦せない!明日出版社のほうへ「謝罪」に来るらしいけど…なんやらかんやらで苛々して仕事にならんところへ休日とかで次女がBFとナパヴァレーのワイン持参で晩飯を食いに来て美味い天麩羅食ってワイン飲んであれやこれや話してちょっと落ち着いて風呂入って本読んで寝る。

DVD
『突入せよ!「あさま山荘」事件』
『突入せよ!「あさま山荘」事件』
『ニューイヤー・コンサート2008』
『ニューイヤー・コンサート2008』

3月5日(水)
昨日の事件でアッタマに来て俺の本のアイデアを無断でパクッたTV番組のDVD録画を冷静に再チェック。これは明らかに著作権の侵害。おまけにアリバイ作りまでしてる。カリカリした頭を冷やすため今年のウィーンフィルのDVDを見直す。プレートルの指揮による大名演。おまけにユーロ2008満載。サッカーファンやスポーツライター必見必聴のコンサート。チョイト気は紛れるが仕事にならん。夕方編集者から電話。パクリをした関係者が台本持参で訪れ謝罪と言い訳をして帰ったとか。事後の対応については一両日中に小生にも直接連絡があるそうで今はそれを待つほかないけど友人の弁護士にちょっと相談しとこかな…。晩飯映画劇場はWOWOWで『突入せよ!「あさま山荘」事件』。予想に反して…とは失礼やけど映画として面白かった。脚本も台詞の処理も巧み。原田眞人監督の他の作品(『金融腐食列島呪縛』や『タフ』)も見となった。しかし役所広司の演技は見事やけどソレが原作者自身であり主人公やと思うとエエカッコしすぎ。人質被害者の名前や長野県警の連中の名前が匿名なら主人公やその周辺人物の名前も匿名にせなアカンで。次は赤軍側から描いた映画を見てみたいな。

3月6日(木)
またまたアッタマに来る事件勃発。あんまりにも何遍も電話で誘いがあったのでホナやってみよかと思て光ファイバーの工事をしてもろたけどキチンとつながらへん。PC2台のうちの1台は無線LANを飛ばしてると言うたのに1台の有線しかつながらへん。3500円の追加料金でPC接続まできちんとすると言うてたのに回線工事担当者しか現れず光ファイバーを引くだけで帰る。おまけに「メルアドは変わりません」とセールスの女性は言うてたのに送られてきた案内状によると光にすればメルアドが変わる。そんなん約束が違う…と思て電話をしたら「お客様サービスセンター」につながるのに小1時間。慇懃無礼なコンピュータの声と格闘してようやくつながったら俺のほうの理解不足のような口ぶり。バカモン!こっちは客やぞ!キャンセルじゃ!取り外しに来い!不便な世の中になったもんやで。俺の親父も電気工事やってたけど電話で工事を押し売りして電線だけ引いて蛍光灯は客につけさして灯らんかったらサービスセンターへ…なんてそんな無礼な仕事はせんかったぞ。くそっ!仕事空転の3日間。イヤな時代になったもんや。責任者出てこーい!

3月6日(木)つづき
くそっ。腹の立つことばっかしやと思いながらTVのスイッチをひねるとBSフジで(旧)日フィルの古い(62年)コンサートを放送してて指揮者はなんとシャルル・ミュンシュ!しかも曲目はブラームス1番!さすがに気合いの入った大名演!引き込まれてしまった。音楽はエエなぁ。音楽だけやな信じられるのは。そのあとメジャー復帰に挑戦の野茂が「トルネード封印」のニュース。すべてセットポジションにしたとか。そうか。「腕にストレスをかけんため」か。野茂自身が「理由を話すのはこれを最後にしますが…」と言うてたけどこのテレ朝のインタヴュアーの質問の仕方はよかったな。誰やろ?

3月6日(木)つづき
野茂が「腕にストレスをかけないよう…」と言ったこと注目。その後スタジオのキャスターは「肘や肩に負担をかけないよう…」と言い直した。日本語の「強肩」は英語では「strong arm」。日本人は関節(とくに肩)を意識するがアメリカ人は腕を意識する。ということは野茂はアメリカ人になった?晩飯映画劇場はWOWOWで『不撓不屈』。はっきり言って栃木県計算センター(TKC)の宣伝映画。国家(国税庁)と闘うことでなんとか映画の体裁を保ってるけど善悪がこれほどはっきりして葛藤が皆無では物語と言えまへんで。最近の日本映画のレベルの低さが露呈した一本。最近苛々する事態が続いた結果の感想…ではないでしょう。

DVD
『悪い奴ほどよく眠る』
『悪い奴ほどよく眠る』

3月7日(金)
気分転換に医者へ。「血圧低くならないねぇ」「最近怒ってばっかりですから」「ははは」ハイパテ以外は良好。煙草やめたらええのんやろけど…毒は旨いもんな。薬をもらって気分転換第2弾。根岸の美容室へ。休日やのにマスターが出てきてカットしてくれる。帰宅してTV関係者からの連絡を待つがナシ。こういう処理はサッサとしてほしいのに何をもたついとるねん。時間切れで再放送…なんていうのんとちゃうやろな。こっちから電話するのもケタ糞悪いし来週月曜まで待つことにする。晩飯映画劇場は黒澤明もいっぺん見たれシリーズ『悪い奴ほどよく眠る』。警察官僚国税官僚と官僚映画を続けてみたあとの公団官僚と建設業界の癒着の話はサスガ黒澤だけあって先の2本よりドラマチックやけど少々オーバーかな。シェークスピアの戯曲とヴェルディのオペラの筋書きを現代的にした感じ。娯楽映画としては面白いけど社会問題告発としては…?。ま。映画というもんはそういうもんかな。深夜に女房の兄夫婦が京都から我が家に到着。東名が事故で通行止めになって遅れたとか。ま。第二東名ができても一緒やわな。

3月8日(土)
義兄夫婦は息子夫婦の新居と孫の顔を見るため女房と一緒に出発。俺は慶応大学日吉学舎へ勉強に。創立150周年記念シンポジウム『大学とスポーツを考える〜日本のスポーツにおける大学の役割』を拝聴。基調講演は慶応スポーツ医学研究センター長の山崎元氏。特別講演は慶応OB竹田恆和JOC会長。パネルディスカッションは慶応客員教授元NHKの杉山茂さんと慶応大学野球部と日本代表の元監督後藤寿彦氏と慶応スポーツ医学研究センター副所長大西祥平氏と早稲田OBで完全アウェー状態のヨーコ・ゼッターランドさん。そうか。慶応の人ってスポーツよりも慶応を愛してはるのんやな。会場で我がスポーツジャーナリスト塾元塾生で慶大4年のH君と偶然出逢う。スポーツ関係の会社に就職が決まったとか。めでたいめでたい。おまけに小生が『GORO』で記者をしていた時代からのお付き合いの東京新聞Z氏や産経新聞S氏とも出逢う。同窓会状態(笑)。シンポのあと杉山さんとヨーコさんに挨拶してから元ライブドア(現スポーツワークス社長立命館大学客員教授)の小島君やその仲間6〜7人とと学生街のイタリアンレストランでシンポの中味について批判的に歓談。まぁスポーツよりも大事な母校が存在するなかでのスポーツ論には限界があってもしゃーないわな。しかしそれ以上に一番年上の俺が一番ビールを仰山呑んだのはアカン。若い奴がもっと呑まんかい!大船へ帰って『213』で呑み直し。常連のお客さんがわんさか。楽しく痛飲。

DVD
『地球防衛軍』
『地球防衛軍』

3月9日(日)
朝佐吉の散歩のあとチョイト仕事をしてから名古屋女子マラソンTV観戦。高橋尚子の9kmでの脱落に驚く。しかし世代交代は仕方ない。悪いことではない。それより心配なのは日本のマラソンが男女とも駆け引き中心になってること。世界はスピード中心やで。けど五輪は駆け引き中心になるからコレでもええのかなぁ。ちょっと仕事する気が失せたので午後の映画劇場は『地球防衛軍』。監督はゴジラやモスラの本田猪四郎。特撮はもちろん円谷英二。音楽は伊福部昭。『スターウォーズ』の20年以上前に!と思うとミニチュアワーク特撮のチープ感を笑うことはできません。おまけに国連の旗を前に「いかなることがあっても原水爆を使うことだけは許されない」と志村喬が語る。何度も見直して考える余地のある娯楽SF映画です。そうか。高橋尚子は去年膝を手術してたんか。親も知らなんだんか。スポーツ記者は黙ってたんか?まぁプロのアスリートにはいろいろあるわな。けど棄権せんかったのはプロやな。42.195q走らんと身体データが集まらへんもんな。夜大阪へ。新幹線のなかで『興亡の世界史09モンゴル帝国と長いその後』読了。素晴らしい一冊。目から鱗が10枚くらい落ちた。俺らが若い頃に学んだ西欧中心の「世界史の常識」は改めんといかんな。このシリーズはホンマにどれも面白い。

3月9日(日)つづき
大阪泊。ホテルでNHK-BS世界のドキュメンタリーを見る。ニクソン訪中と米中国交回復の舞台裏。秘密裏に訪中したキッシンジャーが「(マルコ)ポーロ」と名付けた分厚い会談準備メモを持参したのに周恩来は手ぶらで長時間会談というのも面白かったけどその周恩来が「日本の再軍備」を最も懸念していると言ったのに対してキッシンジャーは「日本はわずか数日間で軍国主義から民主主義に変換した国だからまたどう変わるかわからない。核兵器もすぐに開発できる力がある。しかしアメリカの核の傘にあるかぎりその可能性はない。自主防衛を言い出さない限り中国にとって心配はない」と言ったとか。なるほど。凄い会話ですな。周恩来の外交力はたいしたもんや。このときから既にアメリカの対日外交は対中外交の一部になってたんやな。さぁ日本はどうしょうか。聖徳太子やったらどうするんかな。

OPERA
『メリー・ウィドウ』
『メリー・ウィドウ』
『パリ国立オペラ初来日公演』
『パリ国立オペラ初来日公演』
BOOK
牧野宣彦『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』(集英社ヴィジュアル新書)
牧野宣彦『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』(集英社ヴィジュアル新書)
DVD
『美女と液体人間』
『美女と液体人間』

3月10日(月)
朝関テレ『痛快!エブリデイ男がしゃべりでどこが悪いねん』生出演。先月桂ざこば師匠にお渡しした『メリーウィドウ』のDVDについて控え室で御礼を言われる。「あれは湖の上の舞台でっか。凄いもんでんなぁ」。本番では男の浮気について中田ボタンさんの自らの身体を張ったトークに全員笑い転げる。東京では絶対にON AIRでけへん危険水域ぎりぎりトークの連続。おもろいなぁ。終わって関テレ事業部の人とパリ国立オペラ来日公演のプロモーションについて打合せ。セラーズ演出の『トリスタン』やデュカス作曲の『青ひげ』など物凄い舞台を引っ張ってきたもんやけどチョイト通好みでチケットの販売は苦戦とか。そうやろな。けど所詮はオペラ。男と女の愛憎物語。しかも演奏と舞台は超一級。これはオススメでっせ。

3月10日(月)つづき
帰りの新幹線で牧野宣彦『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』(集英社新書ヴィジュアル版)を読む。ゲーテでもイタリアにはこんなに興奮するんやもんな。また行きとなったな。帰宅後残務処理。著作権侵害で俺がカンカンに怒ってる相手はなんで電話かけてきよらへんねん。TVの仕事しとる奴らはホンマにエエかげんな連中が多いな。こっちから電話したら「いまクレジットを入れる方向で検討中」やと。それだけのことにどんだけ時間がかかるねん。「クレジットの入れ方も含めてこっちの要求がありますから再放送までの時間的猶予を考えてくださいよ」とホンマは「何をもたもたしとるねん!」と言いたい気持ちを抑えて伝える。晩飯映画劇場は東宝特撮SF娯楽シリーズ第2弾『美女と液体人間』。ゴジラやモスラと同様やっぱりここにも原爆の影が。白川由美の肢体と円谷特撮に感心しながら考えさせられる。続けてNHK-BSで市川昆『ビルマの竪琴』。なるほど昆さん自身がリメイクを作りとなった気持ちがわかる。一つは戦争体験のある人には伝わるメッセージを戦争体験のない人にもわかりやすく伝えるため。もう一つは原作の迫力に負けたという意識があったから…と違うかな。リメイク版も見となった。しかしこの素晴らしい映画は中学生で見たときには気づかんかったけど反戦映画という以上に音楽映画やったんや。「音楽の力」は凄い。

3月11日(火)
枝垂れ梅が綺麗に咲いて鶯が啼く。春ですな。ホーホケキョ。せやからというわけではないけど原稿を書かせてもらった『寺門興隆』(興山舎)という雑誌をパラパラめくってみたらコレが面白い。『ペット納骨堂の固定資産税は非課税判決の波紋』『住職が突然倒れたら/宗門は寺の家族を救ってくれるのか』『成功する新しい霊場作りの実践法』『お寺の石垣が崩壊するのを防ぐにはどうすればいいか』『仏教国スリランカで内戦激化の本当の訳』…等々タイトルだけでも興味津々の連続。最高傑作は『やるっきゃない!つっぱり和尚の骨山日記ズッコケ仏事ヘン造論/導師にマイクなんていらないけれど喪主や遺族席には置いて欲しいって?』タイトルも見事だが中味の記事も面白い。しかも表紙の広告がまた凄い。社寺建設会社らしく「飛鳥時代第30代敏達天皇六年西暦578年創業XX組」「平安時代天禄元年西暦970年創業XX社寺」なんて名前が並んでる。欧米の建設会社には絶対真似でけへんで。ザマアミロ(笑)。『月刊住職』より通巻404号。30年以上続いてる雑誌なんや。お見事。南無阿弥陀仏。

DVD
『ガス人間第1号』
『ガス人間第1号』

3月11日(火)つづき
厳しく抗議してるTV局の関係者が夕方2名来宅。きちんと非を認めて謝罪してくれたうえ事後処置も満足できる対応を提示してくれたので一件落着。大喧嘩にならずによかった。こっちは場合によっては徹底的にやる気やったけど(笑)喧嘩はせんほうがええ。戦者不争。勝者不戦。至言ですな。相手の態度に満足したので今回の事態はこれ以上不問。本欄にもTV局名番組名を書くのはやめます。この日記を読んでくれている何人かの人から俺が怒り心頭に発したTV局と番組を予想する声を聞きましたが断じて民放のワイドショウではありませんのでそれだけはお断りしておきます。妙な先入観は抱かないように。晩飯映画劇場は東宝SF娯楽大作第3弾『ガス人間第1号』。八千草薫の美しい存在感もあって『地球防衛軍』『美女と液体人間』以上の出来。原爆からも離れてテーマは科学と人間。川島雄三や増村保造なんかに較べてカメラワークが大いに不満やけどリメイクしたら面白くなるはず。ここ数日のドタバタで忘れてたけど火で燃えさかるピアノを防護服に身を包んで弾いた山下洋輔さんのコンサートは上手いこといったらしい。ナマで見たかったなぁ。

3月11日(火)つづき
『寺門興隆』のなかで素晴らしいコメントを発見。TVのワイドショウが全裸がどうのポスターがどうのと騒いだ岩手県の「蘇民祭」について天台宗黒石寺住職の言葉。「メディアが勝手に盛りあげただけ。寺は今後も粛々と伝統を守っていきます。ただこれ以上人々のマナーが悪くなればお薬師さまも怒り出しますよ」ええコメントやなぁ。迫力あるなぁ。宗教家はこうでないとアカンな。南無阿弥陀仏。

3月12日(水)
雑務処理に追われて原稿の全然書けん日々が続く。マイッタナ。夕方からオペラシティへ。『題名のない音楽会』の司会者に決まった指揮者の佐渡裕さんの第1回公開収録見物拝聴。テレ朝は素晴らしい人材を確保したけど忙しすぎる佐渡さんの身体が心配やで。何?禁煙始めたって?意志が弱いな(汗)。しかし小生も小学生のときから見てる番組。黛敏郎の司会の時代には美空ひばりが『トスカ』を歌うたり江本孟紀が『タンホイザー』のヴォルフラムの「夕星の歌」を歌うたりしたうえ水着姿の美女が登場したりストリップショウが演じられたり…。佐渡さんにも「健全路線」だけやのうて「大人路線」もやってほしいな(笑)。

3月13日(木)
原稿が書けんな。困ったな。集中力がないな。集中すると血圧が上がるな。仕事中の煙草は控えなアカンのかな。最近アッタマに血を上らせすぎたからかな。昨日禁煙に挑んでる佐渡さんを茶化したバチかな。いろいろあるな。この歳になったらもうちょっとやりたい仕事を絞らなアカンのかな。昼飯時にCSクラシカジャパンでグルベローヴァの『ノルマ』をやってたけどゆっくり見てられへんな。昨日の『トロヴァトーレ』も後半しか見てへんな。見たいもん読みたい本が多すぎるんかな…と思いながら晩飯映画劇場は黒澤明まだ見てへんシリーズ第2弾『どん底』。演劇的リズムと映画的リズムと映画をTV画面で見るリズム(TVドラマのリズム)の違いの勉強にはなったけど芸術志向したときの黒澤はオモロないな。商業映画志向のほうがずっと素晴らしい作品ができてるな。ちょいと酒を控える。

BOOK
丹下和彦『ギリシア悲劇 人間の深奥を見る』(中公新書)
丹下和彦『ギリシア悲劇 人間の深奥を見る』(中公新書)

3月14日(金)
仕事に集中すると肩が凝るようになった。癖になったのかな。昔はアホみたいに健康やったのに歳かな。アホでなくなったいうことかな(笑)。ラグビーの平尾誠二さんに「疲れたときはどうするねん?」と訊いたことがある。答えは「休みます。無理はしません」。そのとおりやな。今日は休みや。本日休業や。と思うて昼飯時にクラシカジャパンでボローニャ歌劇場の『アンドレア・シェニエ』を見る。けど仕事を思い出して机に向かってナンヤラカンヤラ仕事してしまう。貧乏性やな。大物にはなれんな。シャーナイな。と思ううちに黒澤明まだ見てへんシリーズ第3弾晩飯映画劇場は『素晴らしき日曜日』。映画はタイムマシンやな。終戦後の子供の野球風景。懐かしいな。俺達はその草野球のことを何でか知らんけど太鼓ベースと呼んでたな。地方によっては鉄管ベースと呼んでたとか。沢庵ベースと呼んでる地方もあったとか。全部語源はTake one baseやろな。しかしメッセージ性の強い黒澤映画はオモロないな。初期と晩年の映画に冴えがないのはそのためかな。いや。それは黒澤に限ったことやないのかもしれん。今日も酒を控える。ちゅうてもビール大瓶1本半は飲んでるけど。一昨日から読み出した丹下和彦『ギリシア悲劇 人間の深奥を見る』(中公新書)が面白い。ギリシア悲劇とはどんなものか?ということがやっと整理されてわかってきた。

3月15日(土)
くそっ。どうも体調がおかしい。原稿に集中でけん。仕事がオモロナイ。テーマが悪いのかな。うわっ。レッズがグランパスに負けた。オジェックはクビやろな。ストイコヴィッチは嬉しいやろな。相撲は朝青龍が毎日必死やな。強いけど横綱には見えんな。R・シュトラウスの『エレクトラ』(カルロス・クライバー指揮ビルギット・ニルソン/コヴェントガーデン・ライヴ)を聴きながらアイスキュロスの『オレステイア』の解説を読んでやっと活字に熱中できる。ギリシア悲劇がこんなにオモロイとは思わなんだ。すっきりして鮨処『もり山』へ。煙草も吸わず酒も控えて鮨を食う。そうか『もり山』の鮨ってこんなに美味しかったんか。

3月16日(日)
野球文化學會の機関誌『ベースボーロジー』のために少々長い原稿を書く。テーマは昨年日本シリーズ完全試合目前での投手交代についての総括。やっぱり野球に限らずスポーツは肯定できる場面を書くほうが楽しいな。F1は大波乱の幕開けやな。晩飯映画劇場は石坂洋二郎原作『川のほとりで』。加山雄三も星由里子も若いな。わずか半世紀の間に日本の若い男女の恋愛観もセックス観も激変したもんやな。中年の不倫や浮気や女房との関係は昔も今も変わらんのやな。変わるのは若者だけか。

3月17日(月)
朝コラム1本書いたあと昼飯映画劇場CS日本映画専門チャンネルで『駅前飯店』。こんな映画を大らかに作れる時代もあったんやな。そのあとさらにコラム1本。ようやく体調も戻って仕事の調子が戻ったみたい。チベットはえらいこっちゃな。北京五輪は大丈夫かいな。緊急事態のためパリで代替開催なんてことになったらヨーロッパのIOC委員が8年前に描いた筋書きどおりになるな。8年前から北京五輪開催を支持したアメリカは最後まで中国を支援するのかな。ワケがわからんけどオリンピックはスポーツやないな。政治やな。マラソンの世界記録保持者が世界選手権辞退しても問題にはならんもんな。電話が仰山かかってくるけど拙著『スポーツ解体新書』くらい読んでからかけてきてほしいな。

3月17日(月)つづき
晩飯映画劇場で森繁の『続社長洋行記』を見てハテサテ我が子供時代の50〜60年代の日本社会をどう総括するべきか…なんてメシ食いながら考えてたら長男が突然来訪。ベラ・フレックのライヴ『Bela Fleck&The Flecktones』の輸入盤DVDを持ってきたとかで映画のあと一緒に見る。凄い!CDでは聴いてたけど映像で見るとまた格別。ベラ・フレックのバンジョーもヴィクター・ウッテンのエレベもスゴイの一言やけどバスーンやイングリッシュホルンによるコンテンポラリー・ジャズも見事。朝青龍みたいなオッサンのホーミーも凄い!インド人プレイヤーのタブラの即興も見事!誰もが物凄いテクニック。最高のコンサート!「ほんで用事はなんやねん」「大学中退しますのでよろしく」「そうか。まぁ勉強は一人でするもんやからな。学費が浮いてありがとさん」長女は男と別れて荷物抱えて家に戻ってきよるし…。みんなオモロイ人生歩んどるな。夜CSでやってたクレイジーキャッツの『くたばれ!無責任』を録画してたけど気になって見てしまう。めちゃめちゃ道徳的な映画やな。せっかくアナーキーな無責任男(植木等)が真面目になったらアカンで。けどそれが60年代やったんやろな。そういう根幹があったから反体制も異端もハグレ者もみんな活躍でけたんやろな。

3月18日(火)
雑務処理をゴチャゴチャしたあと北京五輪と過去の五輪に関する政治問題を整理。中国政府を非難するのは簡単やけど長野・シドニー・ソルトレイクシティと続いたオリンピック休戦をアテネ大会で破ったのはアメリカやしな。オリンピックは国際政治を浮き彫りにするな。将来イスラム圏で五輪開催となるときは何が問題になるのかな。五輪の聖火で地球がまとまる日はいつ来るのかな。市川昆監督が大名作『東京オリンピック』で発した「人類は4年に一度夢を見る」というメッセージも虚しい。「人類は4年に一度現実を突きつけられる」ちゅうことかな。そういえばその名作映画の閉会式でのアナウンスはよかったな。「もしも世界平和というものが存在するのならソレはこのような光景のことを言うのではないでしょうか」晩飯映画劇場は久しぶりに増村保造監督シリーズ。岸田今日子と若尾文子が妖艶な大谷崎文学の映画化『卍』。この映画は隅から隅まで知ってるけど忘れてた箇所も多かったな。昭和初期に同性愛のこのストーリーか…。現代ならば…。

3月19日(水)
朝ラジオ2本。アメリカ主導北京五輪開催の裏側とチベット問題を懸念するEU(IOC)について話す。五輪にまつわる政治問題についてメディアからいくつか電話。若い記者はモスクワ五輪とロス五輪の東西陣営のボイコット合戦は知っててもモントリオール五輪のアフリカ諸国のボイコットやメキシコ五輪直前のデモ隊大虐殺なんかは知らんのやな。『世界の指揮者列伝』(河出書房ふくろうの本)の共著者平林直哉さんから新刊『クラシック名曲初演初録音事典』(大和書房)が送られてくる。メチャクチャ興味深い本。本を開いたらどのページをめくっても面白いので仕事にならん。そうか。スクリャービンの『法悦の詩』を初演した指揮者は新聞評が不評やったので作曲者に「批評は載らなかった」とウソついたんか。芸術家はみんな苦労してまんな。

3月19日(水)つづき
コラム書いて校正してすっかり体調が戻ったみたいなのでホンマかどうか試してみるため(と理屈をつけて)「213」へ。生ビール4杯熱燗ワイン1杯お薬(フェルネブランカ)ロックで1杯。ちょっと控えめやけどこれで明朝の目覚めがバッチリやったら体調全快やな。

3月20日(木)
早朝5時にトイレへ行ってまた眠る。10時起床。寝過ぎたかな。酒は残らず体調万全。まぁ昨晩はそれほど飲んでへんしな。朝すぐにCS日本映画専門チャンネルのスイッチを入れたら三益愛子の母ものシリーズをやってて『巣鴨の母』を見てしまう。素晴らしかった!戦争で3人の息子を亡くした母。4人目の末っ子はBC級戦犯として巣鴨へ。保阪正康さんの本なんかで頭に描いてた巣鴨プリズンの様子がよくわかった。東京裁判や講和条約に対する庶民の素直な会話も見事。大正昭和を生き抜いた日本の母親の素直さ健気さ哀れさ見事さに涙。是非とも再放送してほしい。

3月20日(木)つづき
AVEXから送られてきた金聖響指揮OEKのブラームス『2番』と『悲劇的序曲』を聴く。ノンヴィブラートの弦と小編成(楽譜通り)の管が重厚長大なブラームス観を覆す。純生のブラームスってこういうもんかと驚き納得。お見事!

DVD
『長州ファイブ』
『長州ファイブ』

3月20日(木)つづき
昼過ぎTVをつけたらパ・リーグ開幕戦。ちょうどダルビッシュの一塁ベースカヴァーの場面。あれはセーフやな。そのあと小林のケガ退場で1死満塁からの小宮山のリリーフ。じつに見事なヴェテランの投球。併殺とったりいな。ファイターズは白星拾うたな。他の2試合も大興奮の1点差ゲーム。やっぱり野球はオモロイな…と感心したら白鵬負けて朝青龍もちょっと気が緩んだのか琴奨菊のがぶり寄りに完敗。土俵が荒れたのはNHKゲストの大八木のせい?(笑)晩飯映画劇場は『長州ファイブ』。山口県の宣伝映画とはいえ面白かった!台詞の少ない堂々たる映画のリズムと確固たる思想(とまでは言えへんけどきちんとした考え)を持った監督の姿勢の表れた映像に納得。イイ映画です。五十嵐匠監督の他の作品『ナンミンロード』『SAWADA』『地雷を踏んだらサヨウナラ』『みすゞ』も見となった。さぁボチボチ現代日本映画を見始めるか。

3月20日(木)つづき
『長州ファイブ』を見たあとの日本映画専門チャンネルでの生前の淀川長治さん(73歳)へのインタヴューが面白かったな。淀長さんの美人美男スター論。鋭いな。誰も彼もナンデモカンデモ誉めてはるけどヨウ聞いたらボロクソに批判してはる。そういえば学生の頃に淀長さんの日曜洋画劇場での解説を聞いて呆然としたことがある。映画は『イージーライダー』。「二人の男がいろんなところを旅しますねえ。どこへ行っても受け入れられませんねえ」とか例の調子で話したあと「最後の最後にライフルでバーン。殺されてしまいますねえ」そして「まぁアメリカという国はホントに怖ろしい国ですねえ。ではサヨナラサヨナラ…」見るとこ見たはった人やで。

3月21日(金)
午後から渋谷NHKへ。関東甲信越番組審議委員会に出席。キッシンジャーによる米中接近外交をテーマにしたBSドキュメンタリーを「BBC級の見事さ」と誉める(誉め言葉になってへんかな・笑)。そのあと苦言を3つほど。一つは番組制作に参考にした文献は明示すべきではないかということ。もう一つはNHKの言葉遣い。「オペラ『ランメールモールのルチア』」を何故「歌劇『ルチア』」に統一してるのか。Furtwa"nglerは「フルトヴェングラー」なのにViolinは何故「バイオリン」なのか?そして昨日の特番のタイトル。ベルリン・フィルを『世界最高のオーケストラ』と呼んでいいのか?それは間違ったメッセージではないか?…てなことを話したあと(もちろん他の委員さんの有意義なお話しも聞いたあと)少々ビールで歓談。そうか。北京五輪が万が一開催できなくなった場合の代替地での国際放送の準備は一か月あればできるのか…。しかしチケットの処理には三か月は必要やろな。いやそもそも中国の国としての威信を考えたら代替開催なんか絶対させへんやろな。しかし三か月前まではわからんか…。会議のあと東京駅へ。ハイヤーのラジオで朝青龍の敗戦を聞く。音羽山親方(元貴ノ浪)の解説は抜群やな。名古屋へ。ホテルで浅田真央の転倒復活スケーティングに感激。根性あるなぁ。

3月22日(土)
朝東海テレビ『スーパーサタデー』生出演。浅田真央金メダル・チベット争乱と北京五輪・今季セリーグの順位予想など。午後は栄中日文化センターでオペラ講座。ドン・ジョヴァンニが騎士長の石像に殺されずドンナ・アンナやドン・オッターヴィオやマゼットやツェルリーナやレポレッロやドンナ・エルヴィラに殺される新演出の舞台やオテッロがアメリカ海軍の提督で嫉妬に狂ってアラブゲリラの本性を見せる新演出の舞台を解説したあと蛙の女王『プラテー』の見事な舞台(パリ・オペラ座)を堪能。新幹線で帰京後有楽町のレストラン『DAZZLE』へ。久しぶりにガキども全員集まって長男のGFとヨメハンの誕生パーティ。ナンデ俺よりガキどものほうが仰山ワインを飲みよるねん。老兵は死なず。ただ飲めなくなるのみ…か?(先に最後の一文を関西弁で書いてましたがココはやっぱり標準語にするべきと思い書き直しました。どうでもエエこっちゃけど)

3月23日(日)
春眠不覚暁。ホカポカポカホカと春の陽気。昨晩のパーティのあと我が家に泊まったガキどもと友人どもは今日は日曜サンデーというのに仕事とか。残った次女と佐吉の散歩。桜がちらほら咲いてる。桃の花も木蓮も綺麗。窓を開けて部屋の整理と掃除。気分は良好。大船の本屋で物色のあと大相撲TV観戦。そうか。朝青龍が勝ったか。白鵬若いな。実力互角の時は気合いの入りすぎた方が負けるな。レッドソックスとジャイアンツの試合をチェックしながら晩飯映画劇場は本屋で500円で買うたDVD『バンドワゴン』。『ザッツ・エンターテインメント』にもピックアップされてたけどアステアとチャリスの夜のセントラル・パークでのダンスが美しい。53年の作品。脚本はアドルフ・グリーンとベティ・コムデン。同じ脚本家による『雨に唄えば』(52年)の焼き直しやな。同じ脚本家によるバーンスタインの『オン・ザ・タウン』(44年)の音楽の凄さに改めて気づく。丹下和彦『ギリシア神話』(中公新書)再読了。現代的テーマはすべてギリシア神話に書かれてるんやな。「世の中に新しきものナシ。新しきものとは忘れ去られたものなり…とソロモンは言った」とは確かボルヘス『伝奇録』の書き出しやったな。

DVD
『月曜日のユカ』
『月曜日のユカ』
『まあだだよ』
『まあだだよ』

3月24日(月)
朝佐吉の散歩のあと昼飯抜きでブワーッと集中して仕事してフーッと息をついたらまだ午後5時。一日ってあっという間に終わるときも多いけどけっこう長いもんやで。というわけで晩飯前映画劇場『月曜日のユカ』。監督は『狂った果実』の中平康。脚本が斎藤耕一と倉本聡。物語も映像も秀逸。アイデアも豊富。見応えあった。加賀まりこが可愛いな。中尾彬さんが若うて細うて格好良うて驚愕。続けて晩飯映画劇場は黒澤明きちんと見直そうシリーズで『まあだだよ』。自殺未遂以降の黒澤は絵的美しさに走ってばっかりでオモロナイとはいえ内田百閧フ素晴らしいキャラと松村達雄の飄々とした演技による見事な秀作。ただし最後の子供に戻るシーンはいらんやろ。いや老翁の最後の作品やから許すべきか。夜日本語のできるアメリカ人ジャーナリストからMLBの日本での開幕戦について電話で感想を求められる。話が読売グループとMLBの関係に及んだので参考文献として有馬哲夫『日本テレビとCIA発掘された「正力ファイル」』(新潮社)を紹介しておく。

3月25日(火)
朝原稿の校正を戻したあと昼飯オペラ劇場。2年前のパルマ歌劇場の『マクベス』。ヌッチのマクベスを見たかったのでクラシカジャパンにチャンネルを合わせたけどシルヴィ・ヴァレルのマクベス夫人のほうが面白かった。この歌手は大注目でっせ。バルトレッティの指揮はイタリア臭ぷんぷんで見事。映画『愛の嵐』の監督リリアーナ・カヴァーニの演出も『薔薇の名前』の装置を担当したダンテ・フェレッティの舞台装置も色彩が見事。久々にイタオペの神髄に酔う。パルマのオケも自家薬籠中のイタリアものは見事やな。

3月25日(火)つづき
オペラ見たあとコラム1本書いて晩飯野球劇場ボストンvsオークランド。家の外は突然の猛烈な雷と土砂降り。ヤマトの国がアメリカの51番目の州になったことにワケイカヅチノカミが怒ったのかな。松坂は力みすぎ。それでも2点に押さえるのはサスガ。あの内野ゴロの処理は超メジャー級。午後10時から日本映画専門チャンネルで川島雄三監督『特急ニッポン』。マルクス・ブラザース級のスラップスティック映画と野球のチャンネルをあっちやったりこっちやったりしてたらいつの間にか野球は終わってる。そうか。岡島が勝利投手か。むかし寺山修司が書いた上演不可能スポーツ戯曲「巨人対国鉄」という台本を読んだことがあった。そんな展開やな。どんなに善戦しても所詮は強い方が勝つ。イヤな世の中やな。

3月26日(水)
早朝ラジオ2本こなして新幹線で大阪へ。MBS『ちちんぷいぷい』生出演。北京五輪ボイコット騒動に至る経緯をアメリカの世界戦略EUとIOCの深謀遠慮から喋らしてもらう。ほかに色々話すなかで映画の話になってレギュラーの加藤紀子さんが『月曜日のユカ』を知ってたことにちょっと驚き。番組終了後MBSのスポーツ関係スタッフ相手の勉強会。スポーツジャーナリストの仕事を北京五輪に絡めて話したあと質疑応答。こういう会に招かれると話をする側もいっぱい勉強になる。その後大阪一美味しいホルモン焼き屋さんで打ち上げ。楽しい一時。そうか。加藤紀子さんが『月曜日のユカ』を知ってたのは彼女の年代が10〜20代の頃に『オリーブ』や『アンアン』なんかでそういう特集が流行してたんか。そういや一時期加賀まりこさんがブレイクしたことがあったもんな。ホテルに帰ってW杯アジア予選バーレーン戦。あ〜あ。しゃあないな。サッカーは怖いな。しかし大人になった岡ちゃんにとっては背水の陣になったほうが本領を発揮できるはず。

BOOK
内藤陽介『反米の世界史「郵便学」が切り込む』(講談社現代新書)
内藤陽介『反米の世界史「郵便学」が切り込む』(講談社現代新書)

3月27日(木)
大阪のホテルでゆっくり朝寝。ゆっくり朝食の後ゆっくり散歩。エエ天気。桜が綺麗。たまにはこんな時間もエエもんや。午後から関テレへ。オペラの面白さと7月に来日するパリ国立オペラについて思い切り話す。『週刊プラチケ!』『st@ge』といった番組で流されるらしい。東京の人にはワカランやろけど。帰りの新幹線で内藤陽介『反米の世界史「郵便学」が切り込む』(講談社現代新書)を読み始める。なるほど「切手」というモンがメディアとしてこれほどオモロイもんとは知らなんだ。『213』で晩飯食べたあと帰宅。2日分のメールをチェックして激怒!以前パクリ問題で大抗議大喧嘩したテレビ局の連中がまた約束を破りよった!なんやねん。この木で鼻をくくったような態度は!なんやったんやねん。あの謝罪は!再放送しますやって?!作り直したビデオを事前にチェックさせるいうてた約束はどないなったんやねん!あかん。また血圧あがる。

3月28日(金)
昨晩怒りのメールを返信したことに対してTV局担当者から電話。「編集権は我々にありますから」「あほんだら。そんなこと百も承知や。こっちは著作権と知的所有権を侵害されたんやぞ!それに対して非を認めて謝罪して修正したビデオを再修正の時間的余裕のあるなかで見せるという約束をしてくれたからこっちは怒りを静めて和解したんやぞ!」「はい。ただ通常は放送された番組を同録(同時録画)して送るので今回も通常どおりと考えてしまいました」「通常と違うから怒ってるんやないけぇ」「はい。すぐに修正した番組のビデオをお持ちします」…まいったなぁ。仕事にならへんやないけぇ。おまけに言葉遣いも思わず悪なってしまうし…。荒げてしまうし…。ほんまにマイッタなぁ。

DVD
『浮草』
『浮草』

3月28日(金)つづき
うわあっ!まいった!持参されたビデオを見てまたまた激怒!すぐに電話で怒りの抗議!約束が守られてへんやないか!謝罪になってへんやないか!この程度で誤魔化す気か!しかも再放送ぎりぎりになって連絡してきて何という卑怯さ!あざとすぎるやり方やないけぇ!俺の本の中味をパクッタならその本をきちんと紹介するのが当たり前やないか!そのことを約束したんと違うんけぇ!ガキの喧嘩やないぞ!すぐに作り直せ!あ〜あ。悲しなってきた。大の大人が何をコセコセと誤魔化そうとするんやろ。おまけに当人にはその気はなかったらしいけど妙な圧力までかけてきやがって…。こっちは自分の書く本に命を賭けてるのに組織の人間は保身ばっかり考えとるのんやろか。こんなことやったら裁判してカネを要求した方が血圧も上がらいでよかったかな。俺の時間的損失はどうしてくれるねん。セリーグ開幕戦スワローズの見事な勝利を見たあと怒りを静めるために遅い晩飯映画劇場は小津安二郎『浮草』。映像が綺麗。衣裳も家の造りも寸分油断のない見事な構図と色彩。妙にのっぺりした変な関西弁も一つのリズムになってる。ギリシア悲劇『メディア』の超マイルド日本ヴァージョン。素晴らしい映画でした。しかし怒りは治まらんなぁ。

3月29日(土)
大山鳴動鼠一匹。喧嘩してるTV局の関係者が再々修正したビデオを持参して一件落着。たったこれだけのことにナンデこないに胆を立てんといかなんだんか。このTV局は何かと「宣伝」を避けたがる。しかし他人の本のアイデアをパクッタならその本を紹介するのが当然。あるいは事前に著者に取材して断るべき。そういやこのTV局の他の番組で1時間以上も取材を受けたのに何の連絡もないままオンエアされた番組もある。おまけに取材謝礼もナシ。天下のTV局がオマエを使うたってるちゅうエリート意識のなせる業か?そういやこのTV局はギャラも安い。「ナンデこんなに安いねん?」と一度訊いたことがある。「局の規定です」「どんな規定やねん?」「社会的評価とか地位とか局への貢献度とかで決められてます」「そらウソやで。俺はメチャメチャ沢山出てるのに20年前から上がってへんで」やめとこ。こんなこと書いたら使うてもらえんようなる(笑)。エリート意識の…いや官僚的体質のメディア人間ほどタチの悪いもんはないな。とにかくこの騒動はオシマイ。気分がむしゃくしゃして仕事にならんので昼は『駅前茶釜』なる日本映画を見る。森繁やフランキーや淡路惠子や池内淳子のオールスターキャストに加えてジャイアント馬場が特別出演。そういや『駅前飯店』には王貞治さんも出てたな。他愛ない話で憂さ晴らし。夜『213』へ。久しぶりにR・ホワイティングさんや朋友のSクンと酒。しかも神戸での震災見舞い以来という中学時代からの朋友Uクンも参加。ワイワイ歓談。『213』サン五月蠅くてスンマセンでした。

DVD
『乱れ雲』
『乱れ雲』

3月30日(日)
朝佐吉と散歩。染井吉野満開。桜は咲いても心は闇よ。くだらん騒動で疲れたな。枝垂れの咲く頃には元気を取り戻したいな。コラム2本仕上げて晩飯映画劇場は成瀬巳喜男監督最後の作品『乱れ雲』。脚本がようできてる。不要と思われた台詞は1カ所だけ。春雷と土砂降りの雨が美しい。なかなか新しい映画に手が出せんな。うわっ。スワローズがジャイアンツを3タテや。オレの東海TVでの予想はスワローズ2位やもんな。おもろいで。

DVD
『バーバー吉野』
『バーバー吉野』

3月31日(月)
花冷え。冷たい雨。散歩の最中も佐吉がふるえてる。新連載コラムの締め切り。自分でも物書きとしてはヴェテランになったと思うけど新連載開始の時はいつもビビル。肩に力も入る。ちょいと新しい試みもしたくなる。ナンヤラカンヤラで途中本を読み飛ばしたり(村井則夫『ニーチェ−ツァラトゥストラの謎』中公新書)必要もないのに手紙やメールの整理をしたりで夕方ようやく書きあげる。まずまずやな。晩飯映画劇場は荻上直子監督『バーバー吉野』。面白かった。日本の田舎をこれほど美しく撮った映画を見たのは山田洋次『馬鹿が戦車でやってくる』以来かな。もたいまさこの怪演も見事。この監督の映画全部見となった。『かもめ食堂』『めがね』と続くから髪の毛・胃袋・目でテーマは「身体」かな…。

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