コラム「音楽編」
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掲載日2015-12-23
この原稿は『アサヒ芸能』(徳間書店・2015年11月26日特大号)連載「NIPPONスポーツ内憂内患」第45回に「スポーツと音楽…それは絶対に切り離せないモノ 浅田真央の蝶々夫人でのフリー演技で実感」と題して書いたコラムです。『アサ芸』にもこーゆーコラムを書いているということをチョット示したくて“蔵出し”します。

スポーツと音楽……それは絶対に切り離せないもの

 11月2日大阪毎日放送の人気番組『ちちんぷいぷい』とクラシック音楽の殿堂『ザ・シンフォニーホール』のコラボレーションで『昔の音は偉かった/銀盤を彩るクラシック〜フィギュアは美メロが命!?』と題したコンサートが開かれた。

 これは『ちちんぷいぷい』の人気コーナーで、河田直也アナウンサーとタレントのくっすんの2人が、近畿地方の名所旧跡を訪ね歩く「昔の人は偉かった」をもじったタイトル。その2人が司会を務め、小生が音楽を解説。ゲストに昨シーズン引退した鈴木明子さんを迎え、1500名を超す満員の聴衆に、クラシック音楽を楽しんでいただいた。

 演奏は岩村力さん指揮の関西フィルハーモニー管弦楽団。演目はフィギュア・スケートで使われた楽曲を中心に、浅田真央さんが使ったハチャトゥリアン作曲『仮面舞踏会からワルツ』、ラフマニノフ作曲『鐘』『ピアノ協奏曲第2番』、キム・ヨナが使ったガーシュウィン作曲『ピアノ協奏曲へ長調』、鈴木明子さんほか、多くの選手が使ったプロコフィエフとニーノ・ロータ作曲の『ロミオとジュリエット』、荒川静香さんのトリノ冬季五輪優勝曲・プッチーニ作曲『トゥーランドット』、高橋大輔さんが使ったレオンカヴァッロ作曲『道化師』……等々、歌のゲストにイケメン・ヴォーカル5人組グループの『ル・ヴェルヴェッツ』を迎え、全部で12曲のクラシック音楽やオペラの楽曲を演奏。

 クラシックやオペラと言えば、何やら高級で難解でわかりにくい……という先入観を持っている人が多いかもしれないが、所詮は音楽。美しいメロディに酔えばいいだけの話。

 とくにオペラは、作品のほとんどすべてが男と女の恋愛話。もちろん不倫もあれば三角関係も四角関係も、愛憎縺れた果ての殺人事件もあり、それだけに(子供には)難解とも言えるが、(大人には)よくわかる話であり音楽……といった解説を、演奏の合間に小生が行った。

 こういう「スポーツと音楽」を結びつけたコンサートは最近では数多く、今年10月19日には作曲家の池辺晋一郎さんのプロデュースで、世田谷文化財団音楽事業部の主催『異分野とのコラボレーション/スポーツと音楽』というコンサートが、成城ホールで開かれた。

 ゲストは、小生の他に元フィギュア・スケーターの八木沼純子さん。そして演奏は女性2人組ピアニストのデュオ・グレイス。

 このときの演目はかなり面白いもので、今やスポーツ音楽の定番となったハチャトゥリアン作曲『仮面舞踏会』やワルトトイフェル作曲『スケーターズ・ワルツ』のほか、エリック・サティ作曲の『スポーツと気晴らし』(「ゴルフ」「競馬」「テニス」……などの題名による21曲のピアノ組曲)、そしてアルトゥール・オネゲル作曲の『ラグビー』という楽曲。

 また、一番最初に作曲家の小林亜星らの師匠である服部正が作曲した『ラジオ体操第一』が演奏された。

 日本人ならすべての人が知っている(であろう)この音楽が、「演奏会で演奏されたのは、おそらく史上初」(池辺氏の言葉)で、それは身体を動かすだけでなく聴いても面白い音楽であることが再認識できた。

 先に書いた荒川静香さんがトリノ五輪で金メダルを獲得したあとには、彼女をゲストに迎え、名古屋で二期会合唱団のコンサートが行われ、小生は司会を務めさせてもらった。この時のゲストは、他にレスリングの吉田沙保里さん、スピードスケートの岡崎朋美さんという豪華なもの。音楽とスポーツがテーマのトークも大いに盛りあがった。

 そもそも「スポーツと音楽(芸術)」には密接な関係があり、古代ギリシアのオリンポスの祭典では、神々の美しい身体に近づこうとする行為(スポーツ)が、神々を讃える行為(音楽や美術や彫刻)とともに行われたという。

 最近のオリンピックでもロンドン大会の開会式にはベルリン・フィルハーモニーの指揮者サイモン・ラトルやビートルズの元メンバーのリンゴ・スターが登場。北京大会では現代最高の中国人作曲家であるタン・ドゥンが音楽監督を務めた。

 古くは1984年ロサンゼルス大会の音楽監督を、『スター・ウォーズ』『スーパーマン』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの映画音楽の作曲者として有名なジョン・ウィリアムスが務め、98年の長野冬季五輪では、日本人指揮者の小澤征爾さんが音楽アドヴァイザーとなり、参加各国の国歌を自ら指揮して録音したり、開会式では世界各地の主要都市を衛星中継で結び、ベートーヴェンの『第九交響曲』を演奏した。

 先に書いたトリノ冬季五輪では、今は亡き現代最高のオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティが登場。彼にプラシド・ドミンゴとホセ・カレーラスが加わり、「三大テナー」として大活躍を始めるきっかけとなったのは1990年のサッカー・ワールドカップ・イタリア大会。

 スポーツと音楽の結びつきは、なかなか強いものがある。が、2020東京五輪の開会式の音楽が、AKBナントカのレベルに落ちないことを祈りたい(組織委に秋元某が入ってるだけに危ういなあ)。

 それはともかく、フィギュアスケートの浅田真央さんが1年間の休養のあとの復帰第1戦、グランプリシリーズ上海大会を見事に優勝で飾った。

 プッチーニ作曲『蝶々夫人』の美しい音楽に乗り、日本人女性の魅力を感じさせる演技を披露したのは、実に素晴らしかった。2位に入った本郷理華さんも健闘したが、音楽と融合した美しさという点ではやはり及ばなかったように思う。

 音楽とスポーツ……両者は絶対に切り離せないものに違いない。

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