コラム「音楽編」
HOMEへ戻る
 
表示文字サイズ選択:
標準
拡大
掲載日2008-01-23

この原稿は、毎年恒例となっているオペラシティ・タケミツホールでの『山下洋輔ニューイヤーコンサート』のパンフレットに寄稿したものです。今年で9年連続パロディ大爆発の快挙!筒井康隆大先生からも「アホなことを書きおって!」とお褒めの言葉をいただいた文章です(ナンヤラカンヤラ1月12日参照)。洋輔氏にも「吹き出した」佐渡氏にも「オモロかった」と絶賛されたパロディをお楽しみください。

山下洋輔ニュー・イヤー・コンサート
ヨースケ&サド緊急“生”記者会見!
『いま明かされる!反則肘打ち事件の真相』

 ハイ、こちら東京オペラシティの記者会見場です。スタジオでも話し合われていましたが、新年恒例となっているニューイヤー・コンサートの記念すべき2000年第1回演奏会で、重大な反則行為があったという事実が発覚し、その謝罪会見が間もなく開かれます。あ。ピアニストのヨースケ氏と指揮者のサド氏が会見場に現れました(バシャバシャバシャバシャバシャバシャ)。

A ええー。では、質問を受け付けたいと思います(バシャバシャバシャバシャ)。

12 あのう…8年前のコンサートで…。

8 ずばり端的に伺います。反則行為はあったのですか? なかったのですか?

ヨースケ そう言われても、それも、まぁ、音楽表現の一部でして…。

10 イエスかノーかでお答え下さい。肘打ちはしたのですか? しなかったのですか?

ヨースケ そう訊かれると……イエスですね(バシャバシャバシャバシャバシャバシャ)。

10 貴方はジャズマンですが、肘打ちをされた場所はクラシック音楽の殿堂といわれるタケミツホールで、クラシック音楽に挑戦されたわけですよね。

ヨースケ 別にクラシックに挑戦という意識でなく、オーケストラとやってみたいと…。

10 詭弁ですよ! クラシック音楽のオーケストラと、クラシック音楽としての自作のピアノ協奏曲を演奏されたのでしょう。そこでピアノの鍵盤を肘で叩いたのですよ! それは、れっきとしたルール違反ですよ!

ヨースケ 拳骨も使いましたが…。

10 ナックルパートは反則じゃないでしょう。真面目に答えて下さい!

4 サド氏にお伺いします。指揮者として「肘でやったれ!」と関西弁で反則行為を具体的に指示されたという疑惑がありますが…。

サド 2000年の第1回ニューイヤーでのことですよね。僕、そのときは直前に入院してしもて、指揮してないんですよ。

10 逃げないで下さい! そんな言い訳は通りません! そのとき代役として指揮台に立ったのは金聖響氏で、貴方の弟分といわれている指揮者ですよ。当然病室からでも反則の指示を出せますよね。それにその後、大阪とイタリアのトリノで、同じピアノ協奏曲をヨースケ氏の演奏で指揮されてるでしょう。

サド ええ。おかげさまで大好評で、トリノでのライヴはCDも売れてますねん。

10 反則行為をしても、ウケりゃあイイ、売れりゃあイイというわけですか? クラシック音楽を白い恋人や赤福と同じように考えてるんですか!

サド あれ、美味しいから、僕、どっちゃも好きですねん(バシャバシャバシャバシャ)。

10 美味しけりゃいいのですか! トリノでもやったというなら国際問題ですよ。

サド でも、クラシックでもピアノの鍵盤以外の部分を手の平で叩いたり…。

4 オープンブロウは反則ですよね。

サド ピアノの中の弦を指で弾くことも…。

4 サミングじゃないですか!

ヨースケ 私は、それだけはやらないんです。

10 サミングはやらないけれど、肘打ちはやってもいいという考えなんですか?

ヨースケ まぁ、そうですね。

12 肘打ちの練習までされていると聞いたことがあるのですが、本当ですか?

ヨースケ 練習というか、だいたい白鍵で3カ所、黒鍵で3カ所、低音部から高音部に分けて、左腕の肘を使う感じで確認を……。

10 それは立派な練習じゃないですか! 音楽が盛りあがって即興でしてしまうんじゃなく、もともと反則行為を行うつもりで、準備しているんじゃないですか!

ヨースケ まぁ、インプロヴィゼーションというのは、そういうものですから…。

10 それも詭弁だ! オーケストラには楽譜があってピアノ・ソロには楽譜がないというのも、じつは反則行為の証拠を残したくないからでしょう!

ヨースケ ……(バシャバシャバシャバシャ)。

A ええぇ…そろそろコンサートの始まる時間ですので、記者会見はこのへんで…。

10 最後に一言! 今回の『エクスプローラー』と名付けられた新作でも、反則行為を「探求」して、肘打ちを行うつもりなんですか? イエスかノーかでお答え下さい!

ヨースケ YES & NO(バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ)。

A これで記者会見を終わりまーす。

6 テレビをご覧の視聴者の皆さんもお気づきのとおり、ついに肘打ちという反則行為に対する謝罪の言葉は一言も聞かれませんでした。これから始まるコンサートで、またもや驚くべき反則行為が飛び出すのかどうか、大いに期待したいと……、いや、あの、その……、大いに注目したいと思います。以上、東京オペラシティの現場からの生中継でした。

▲PAGE TOP
バックナンバー


蔵出し新着コラム

玉木正之のオペラへの招待 大人の恋の物語『メリーウィドウ』

『ジャンニ・スキッキ』の舞台は京都?

クラシック音楽ファン、オペラ・ファンは、なぜDVDに狂喜しているのか?

「不〜倫火山」大爆発!善男善女の皆さんも、煩悩まみれの皆さんも、みんな一緒に御唱和ください!「不倫、不倫、不倫、フリ〜ン!」

クラシック・コンサートは「真に新しい音楽」に触れる場所

オペラとは男と女の化かし合いを楽しむもの

50歳からのホンモノ道楽

『オペラはやっぱりオモロイでぇ』第14期「オペラ掘り出しモノ!」

山下洋輔ニュー・イヤー・コンサート ヨースケ&サド緊急“生”記者会見!『いま明かされる!反則肘打ち事件の真相』

「ベートーヴェンの交響曲」その名声と誤解

ベートーヴェンの「圧倒的感動」

ファジル・サイの魅力

スポーツは音楽とともに――フィギュアスケートはオペラとともに

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第3弾!

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第2弾!

300万ヒット記念特集・蔵出しの蔵出しコラム第1弾!

天才少年ヴィトゥスとテオと音楽と……

『オペラはやっぱりオモロイでぇ』第13期「オペラは、ゼッタイ演出に注目!」

<演歌 de おぺら(エンカ・デ・オペラ)>上演企画書

『指揮者列伝』ミニミニ・ダイジェスト「カラヤン・ゲルギエフ・セラフィン・バーンスタイン」

あけましてフリー漫才

男の子がヴァイオリンを弾くのは恥ずかしいことだった・・・?

『オペラはやっぱりオモロイでぇ』第12期「オペラは、祭りだ! お祭りだ!」MUSIC FESTIVALS IN THE WORLD

革命的斬新さを失わない音楽――それがクラシック

いつの世も変わらない「親子」と「男女」

日本ポップス史講座アンケート

待ち焦がれた“パリジャン”の本領

「浪漫派ベートーヴェン」を存分に楽しませてくれた演奏に心から拍手

音楽家はいかにして演奏に心をこめるのか?

JAZZとテツガク

ソロ(孤高)を求めてバンド(連帯)を怖れず!

我が「師匠」福島明也の魅力

城之内ミサ『華Uroad to OASIS』「ジャンル」を超えた素晴らしい音楽

懐かしい空間の響き

佐渡&玉木のぶっちゃけトーク

五嶋龍―「神童」の生まれ出る一瞬

ヤッタリーナ!ガンバリーナ!イタリーア!

スポーツと音楽――その親密な関係

アメリカのスポーツとアメリカの音楽

フィリッパ・ジョルダーノの魅力〜フィリッパの歌はイタリアの味

「私の好きな音楽」身体で感じる世界

玉木正之の『オペラはやっぱりオモロイでぇ』第10期「オペレッタを楽しもう!」

リヒャルト・シュトラウスのオペラは宝塚にふさわしい

日本人は「万葉集」以来「歌とともに生きている」

東方の奇蹟の二重唱

永遠の歌声

「原点回帰」の「山下洋輔ニュー・イヤー・コンサート2006」に贈る新春お笑い寄席 新作古典落語『人生振出双六』

20世紀最高の「歌役者」

クルマとラジオ

世界は演歌に満ちている

バーブラは諸行無常の響きあり

最高の「日本オペラ」

タイムマシンと冷戦時代

ニッポンは明るい!

春の祭典

シャンソンは高級?

イタリアはイタリア

ジャズはサッカー?

世界はひとつ?

大事なのは、質より量?内面より外見?

ビートルズはわかる?

無人島で聴く最後の歌

歌は世に連れない

クレオ・レーンの学歴

ひばりの川流れ

NASAと蓄音機

日本人の遊び心

「革命的音楽」は時代とともに消えてゆく?

究極のノスタルジー

『プロの仕事』

佐渡&玉木のぶっちゃけトーク(最終回)

「映画を所有したい!」と思うのは何故?

討ち入りや ゑひもせすまで ジャズに酔ひ――『ジャズマン忠臣蔵』講釈・前口上

ゲルギエフの引き出す無限の可能性/偉大な芸術とは、オモロイもんである。

冬の夜長にオペラ――その極上の面白さをDVDで味わう

都はるみさんの「世界」との新たな出逢い

天国の大トークバトル『クラシック あとは野となれ ジャズとなれ!』

超虚構音楽史―山下洋輔作曲「ピアノ・コンチェルト」の世紀の一戦

男と女の愛の形――悪いのはどっち?

「世の中に新しきものナシ」あらゆる創作はパクリである?

モーツァルトのオペラのおもしろさ

人を愛し、未来を信じ、時代を超越するパワー

バーンスタイン『キャンディード』の単純明快な世界

いつの世も変わらない「親子」と「男女」

<演歌 de オペラ>上演企画書

カルロス・クライバー〜〜実体験なき体験/〜夢のような体験

歌うピアニスト ―― G&G(グルダとグールド)

グレン・グールド<ガラス=音楽=グールド>

『ブルース・ブラザース』讃

翔べ! 21世紀へ!「エレクトリック・クラシック」の翼に乗って!

サロメ――官能と陶酔の神話の魅力

神野宗吉(ジャンニ・スキッキ)の娘・涼子(ラウレッタ)のアリア『好きやねん、お父ちゃん』(『私のお父さん』)

「子供(jr)」という大発見

NHK-FM『クラシックだい好き』 1〜6回プログラム

島田雅彦のオペラと小説――『バラバラの騎士』と『どんな? あんな?こんな? そんな!』

「オペラ忠臣蔵」のテロリズム

フリンオペラ年表400年史『オペラの歴史はフリンの歴史』

極私的ワーグナー体験の告白『私は如何にしてワーグナーの洗脳を解かれたか?』

ベートーヴェンの「朝ごはん」

サッカーと音楽の合体――それがスポーツ!それがワールドカップ!

オペラ「アイーダ」の本当の魅力

ヨースケのことなら何でもワカル!『ヤマシタ・ヨースケ・ジャズ用語大辞典』遠日発売未定 内容見本

Copyright (C) 2003-2008 tamakimasayuki.com. All Rights Reserved. Produced by 玉木正之HP制作委員会. WEBサイト制作 bit.
『カメラータ・ディ・タマキ』HOMEへ戻る