コラム「スポーツ編」
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掲載日2008-05-14

この文章は、今年4月にアメリカのスポーツ雑誌『Sports Illustrated』の記者からメールで受けた質問に答えたものです。質問内容は二つ。一つは「日本人野球選手のMLBへの流出は、なぜ止まらないのか?」というもの。もう一つは、巨人対レッドソックスのオープン戦で、巨人は負けたにもかかわらず、報知新聞は、巨人の敗戦を小さく扱い、若手選手の活躍を大きく伝えた。「この報道姿勢に、日本の野球ファンは疑問や怒りを感じないのはなぜか?」というものです。小生の回答が『Sports Illustrated』誌にどのように使用されたのかは、残念ながら雑誌を送ってもらえないので(クソッ!)わかりませんが、小生の意見を、ここに“蔵出し”します。

日本人野球選手のMLBへの流出が止まらない理由

A.野球選手に限らず、あらゆるスポーツマンは、技術レベルのより高い場所での活躍をめざす。だから日本で技術レベルの高い野球選手は、より高い技術レベルの選手が大勢存在するMLBでのプレイをめざす。

B.日本の人工芝や屋内の野球場に較べて、天然芝の美しい広々としたフィールドなど、MLBは野球環境が整っている。だから、より気分よくプレイできるMLBをめざす。

C.技術レベルの高い選手は、MLBのほうが日本よりも高い年俸を得ることができる。だから多くの日本人野球選手は、MLBをめざす。

D.日本のプロ野球界には、OBの評論家、野球に理解のない親会社から出向している球団フロント職員、ベテラン新聞記者など、先輩面して五月蠅くつきまとったり、まるで自分の教え子のように扱う年長者が少なくない。MLBへ行けば、そんな“先輩”の小言をきかなくて済む。だから、多くの日本人野球選手が、MLBをめざす。

E.日本のプロ野球は、球団が独立した組織ではなく、親会社の一部門(宣伝・販売促進部門)として存在しているため、野球よりも重要なもの(親会社の利益)が存在し、選手は、無意識のうちに親会社の一員となり、親会社のためにプレイしているという潜在意識を持つような構造になっている。が、アメリカ(MLB)へ行けば、野球そのものに専念できるから、多くの日本人野球選手がMLBをめざす。

F.日本のプロ野球は、コミッショナーや両リーグ会長よりも各球団の親会社の意思が強く働き、各球団の親会社は、球界全体の利益よりも、各自の球団の利益を優先する。そのため、球界全体としての将来のヴィジョンが存在せず、多くの選手のMLB流出に対しても、球界全体で対策を打ち出せない。だから、日本人選手のMLB流出が続く。

G.日本のプロ野球は、巨大メディアである読売グループが親会社であるジャイアンツの選手ばかりがメディアによって大きく取りあげられる傾向が長年つづき、ジャイアンツ以外の野球選手(特にパ・リーグの選手)は、実力を正しく評価されない(全国的な人気を得にくい=野茂やイチローもそうだった)。が、アメリカへ渡ってMLBで活躍すれば、(野茂やイチローのように)実力を正当に評価され、日本でもTV(NHK)に大きく取りあげられるようになり、全国的な人気を得ることができるようになる。だから実力のある多くの選手は、MLBをめざす。

H.日本のプロ野球で活躍する選手に対する日本の野球ファンの“尊敬度”よりも、MLBで活躍する選手に対するアメリカの野球ファンの“尊敬度”のほうが高い。だから、多くの日本人野球選手は、気分よくプレイできるMLBをめざす。 (以上の理由以外にも考えられる理由があれば、お教えください)

報知新聞の報道について。
  報知新聞は、スポーツ・ジャーナリズムではなく、読売ジャイアンツの親会社である読売グループの一員として機能しているプロパガンダ新聞である。だから、報知新聞(や、読売新聞や、日本テレビ)に「まともな野球報道」は期待できない。また、日本の野球ファンの多くも、そのことを十分認識しており、『まともな野球報道』を期待していない。 ジャイアンツは、第一義的に読売グループの利益のために存在している球団であり、けっして野球ファンのために存在しているものではない。したがって、読売グループは、ジャイアンツを利用して自分たちの利益を第一義に考えた「報道」を行い続けている。

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