コラム「スポーツ編」
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掲載日2006-08-30

この原稿は毎日新聞連載コラム『金曜カフェ』(8月18日付朝刊)に書いたものです。ちょっと早いですが、日本の「五輪招致都市」が8月30日に決定しますので、ちょっと手を加えて“蔵出し”します。

東京・福岡「五輪招致」のナンセンス?

 東京か、福岡か。
 2016年のオリンピック招致に名乗りをあげた二つの都市のなかから「日本代表」が8月30日に決定される。が、この「招致合戦」は、きわめてナンセンスな結果に終わる可能性が高い。

 そもそも2016年に日本で(アジアで)オリンピックが開催される可能性はきわめて低い。
 1996年のアトランタのあと、シドニー、アテネ、北京、ロンドンと続き、さらに日本となると、5大会(20年)連続してアメリカ圏での開催がなくなる。放映権料やスポンサー料の多くを拠出している大国の存在を思えば、それは考えられない事態というほかない。

 2008年大会の招致に大阪が名乗りをあげたときも、立候補を表明していたニューヨークがわずか1週間後にそれを取り下げた時点で、中国を国際舞台に引きずり出したいアメリカが、政府レベルで北京大会実現に動いていると判断でき、可能性はゼロに近かった。
 それでも大阪は、約64億円もの活動費を使って招致運動を展開した。それと同じナンセンスが再び・・・となるのだろうか?

 とはいえ私は、五輪招致にアタマから反対しているわけではない。
 1976年モントリオール大会で金メダル0個に終わったオーストラリアは、シドニー五輪招致を立案し、一流選手の強化と同時に「裾野の充実」を計画。規則的にスポーツを行う国民が40%増えれば心疾患や腰痛患者の減少により約200億円の医療補償費の支出減が見込まれるというデータをもとに、各都市に役所の出張所も兼ねた公立スポーツクラブを次々と設立した。

 その「国民皆スポーツ運動」はシドニー五輪後も「Beyond 2000(2000年を越えて)」と名付けたプロジェクトとして継続され、一流選手の国際舞台での活躍が増加するとともに、一般市民のスポーツ活動も盛んになり、スポーツを通した「豊かな社会づくり」が展開されている。
 五輪招致が、そのようなスポーツ政策と連動するのであれば、たとえ招致に失敗しても有意義なものといえるだろう。
 が、東京も福岡も施設づくりには熱心だが、そのようなスポーツ政策には無頓着・・・としかいいようがない。
 日本はまだ「土建国家」から抜け出せないでいるのだろうか?
 (しかも、オーストラリアのように、スポーツ政策の新しい展開が実施されるようになった時代に、石原都知事は「国威発揚」などというカビの生えた言葉まで口にした。嗚呼!)

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