コラム「スポーツ編」
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掲載日2005-09-07

この原稿は、8月19日付毎日新聞朝刊のスポーツ面のコラム『金曜カフェ』に寄稿したものです。まだ新しい原稿ですが、ここのところ古い原稿が続いたので、ちょいと手を加えて“蔵出し”します。

スポーツが開く未来社会

 何年か前、ドイツのハンブルクにあるスポーツクラブ「HSV」(ハー・エス・ファウ=ハンブルガー・スポーツ・フェライン)を訪れたことがあった。HSVは高原選手が所属するプロのサッカー・チームが有名だが、じつは市民が参加できる総合スポーツクラブで、練習場には3面のサッカー・グラウンドのほかに、ホッケー用のグラウンド、2つの体育館、24面もあるテニスコート、それにレストランやバーまで各々2軒も完備され、5千人を超す登録会員がスポーツを自由に楽しんでいる。

 私が訪れたときも、子供をサッカー教室やバスケットボール教室に連れてきた大勢の親たちが、食事や酒を楽しみながら歓談していた。
 それはW杯のドイツ開催が決定した直後のことで、古びた市営スタジアムが1マルク(!)でHSVに売却され、HSVは500以上の企業に10年単位の年間指定席や25年単位のボックス(サッカーを見たり会議を開いたりできるキッチンが完備された個室)を販売し、その売上金でスタジアムの全面改装を行い、さらに練習場の一角に、子供たちの合宿施設を建設していた。

 そこで私は、案内してくれたHSVの広報担当者に少しばかり意地の悪い質問をぶつけてみた。
 「どうしてそんなにサッカーに熱心になるの?」
 すると広報担当者は、目を丸くして驚いた様子を見せ、こういった。
 「サッカー以上に、どんな素晴らしい事業があるというんだ? ハンブルク市の発展のためにも、市民生活のためにも、子供の教育のためにも、これはやらなきゃいけないことなんだ」

 スポーツには2種類ある。見て楽しみ娯楽として消費されるために提供されるものと、日常生活を豊かにするためにみんなで作りあげるもの。
 Jリーグや日本代表はまだ不完全とはいえ後者を目指し、2050年のW杯日本単独開催とその大会での優勝という目標を掲げた。日本の野球界は、残念ながら前者の域を出ることができないでいる。
 いや、それ以上に問題なのは、衆院選の各党のマニフェストに、スポーツ政策が見あたらないことかもしれない・・・。

(現在、各政党のマニフェストや長期政策はインターネットで読むことができますが、スポーツ政策、文化政策については、どの党も「ついでに書いておいた」という程度のもので、とりわけ「スポーツと経済」を結びつけた視点が完全に欠けています。たしかに年金も、外交も、郵政も大事でしょうが、スポーツがそれらとも大きな関わりがあるものだということを、いつになったら気づく政治家が現れるのか・・・)

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