コラム「スポーツ編」
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掲載日2004-05-17
以下の文章は、昨年(2003年)7月5日付(4日発行)の日刊ゲンダイ『直撃突撃反撃インタヴュー』のコーナーに掲載されたものです。今年もペナントレースが熱を帯びはじめたところで、発言に少々加筆して“蔵出し”!(加筆部分は【】内です)
阪神優勝で巨人一辺倒のプロ野球は変わりますか?

 巨人の渡辺オーナーが退任を宣言した。実際に辞めるのはまだ先だが、これまでプロ野球界に及ぼした影響は大きかった。巨人が今年(2003年)ダメになったのは同オーナーの進めた野球のツケが回ったからか。辞めることでプロ野球界はよくなるのか。玉木正之氏(スポーツライター)を直撃した。

―― 今年の巨人の体たらくにはどんな問題があるのですか。

「そもそも巨人が弱いからといって、なぜ世間がこんなに大騒ぎするのかを考えなければならない。野球とは勝負事でしょう。勝つこともあれば負けることもある。オリックスが負けても誰も何も言わない。巨人が負ければ問題になるのは、巨人が67年の歴史のうち、39回も優勝しているからです。【そんなの早い話が八百長ですよ。なのに多くの】ファンは巨人が勝って当たり前だと思っている。だから巨人が負けると大変だ、となる。それも無理はない。巨人の歴史は親会社の読売が新聞を売るため、日テレが視聴率を稼ぐために、カネで選手をかき集め、巨人一辺倒の球界を作り上げてきた歴史。これは【巨大メディア権力による】愚民化政策に等しい」

―― 読売新聞が日本の野球をダメにした、ということですか。

「【それだけでなく、日本の社会もダメにしてしまってます。】巨人の渡辺オーナーの罪は、日本のプロ野球を完全に読売一社のための“企業スポーツ”にしてしまったこと。本来、巨人は読売新聞のスポーツ事業部であってはならないのです。アメリカではスポーツが20兆円産業に成長したが、日本では統計すらない。日本のスポーツは、アニメや映画のように誇るべき文化として、また産業として発展させなければならない時期に差しかかっているのです。【なのに、その発展を拒み、私物化して利益を独占しているのがナベツネです】」

―― 渡辺オーナーは「球界の改革を終えたら勇退する」と言っていますが、それで日本の野球は変わるのでしょうか。

「渡辺オーナーのいう球界改革とは何か。読売【新聞社】のための巨人軍【、巨人軍のためのプロ野球、という構造】を、不動の地位にすることでしょう。そんなことを改革とはいえません。日本球界にとってもう一つの重大な問題はスポーツジャーナリズムが何も言えないこと。昨年【2002年】の12月にこんなことがあった。選手会が主宰した『プロ野球の明日を考える会』というシンポジウムで、報道陣が100人以上いる中、私は【冒頭で「我々の敵はナベツネです」と発言し、】「選手だけでなくジャーナリストが立ち上がらないとダメだ」と言ったんです。そのときは、会場の出席者【鳥越俊太郎氏、金子達仁氏、青島健太氏、古田敦也氏、岩本勉氏、小宮山悟氏】のみんなが賛同してくれた。【そして何度も、「今日のシンポジウムの内容を、明日の新聞にきちんと書いてほしい」と、集まった記者たちに話した。】ところが、どのメディアも私【たち】の意見を報じることはなかった。【唯一、フジテレビの『すぽると』だけが、私の「敵はナベツネです」という発言を流してくれましたけどね】」

―― メディアが重要なことを書かないと・・・。

「ジャーナリストといってもほとんどが会社員。会社にとっての利害が最優先です。読売新聞の社員にいたっては、出世するにしたがって巨人ファンになるという。本来ならば外部のマスコミが叫ばなければならないところですが、マスコミも球界の人間【、読売支配のプロ野球の現状を支持する側の人間】になってしまっている。【「読売巨人」がスポーツクラブの「ジャイアンツ」として独立すれば、「朝日毎日の高校野球」も困りますからね。】これではジャーナリズムとしてまともな機能が働くわけがない。当然、野球ファンにも問題の真相は伝わらない」

―― アテネ五輪・全日本代表の長嶋監督の功罪はどうですか。

「長嶋さんはスーパースターでした。が、思想はない。渡辺オーナーの金権野球に丸め込まれてしまった。改革ができる人ではなかったということです」

―― 阪神が優勝することで巨人一辺倒の野球界はマシになりますか。

「阪神も一企業球団ですから無理です。今年は多額のカネで選手を獲得して『去年の方が利益があった』と、球団やマスコミから星野監督が非難される。くだらない話です。野球の楽しさで評価されない。しょせんは企業チーム。ことし阪神が優勝しても、何がどうなるわけでもありません」

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