コラム「スポーツ編」
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掲載日2004-04-19
この原稿は、何年か前(現在ライオンズの松坂投手が甲子園で活躍していたころ)、ぎょうせい出版の発行する雑誌『forbes』の求めに応じ、「最近感じた怒り」というテーマで書いた原稿です。短い文章ですが、ちょいと手を加えて、ここに蔵出し!
原稿でメシを食ったらアカンのか?
 石が流れて、木の葉が沈む。
 いつの時代も、どこの国でも、世の中とはそのように不合理なものであるらしい。だから、いろんなことにいちいち腹を立てても仕方ない。
 とは思うものの、生来の「イラチ」のせいか、毎日のように腹を立てている(「イラチ」とは関西弁で、すぐにいらいらする性格のことです)。

 最近では、某有名作家の書いた「サッカー本」の宣伝コピーを読んで、思わず「阿呆か!」と叫んでしまった。
《おれ、サッカーで食ってないから、本当のことが書けるんだよね》
 とは、どういう意味か?! 
 サッカーでメシを食ったらアカンのか? ウソのことしか書けんようになるちゅうのか?

 おれは、サッカーで食ってる気はない。が、スポーツに関する原稿を書いて食っている。
 しかし、だからといって、本当のことが書けないと思ったことなど一度もない。

 マスメディアがプロ野球チームやサッカー・チームを所有するのは、スポーツ・ジャーナリズムとして許されないことである、という文章をY新聞は載せてくれないから、A新聞に書いた。夏の甲子園大会での松坂投手の連投は、国連の青少年人権保護委員会に訴え出たほうがいいくらいの身体酷使であり、青少年に対する迫害である、ということをA新聞は載せてくれないから、M新聞に書いた。

 捨てる紙あれば、拾う紙あり。
「本当のこと」を書いても食っていけるし、食っているからといって、本当のことが書けないわけでもない。いや、むしろ食っていればこそ「本当のこと」を書いて、自分のメシダネ――生活の糧となっている業界を、正常なものにしなければならないはずだ。そうでないと、自分の生活がかかっているものが、いずれは腐敗してしまい、自分の生活にも影響が出るのではないか。

 それとも、「食ってると本当のことが書けない」というのは、文学賞という肩書きで食ってる作家たちが、マスメディア批判を書けない実感を吐露したものなのか?
 いずれにしろ、このひどい宣伝文に、スポーツライターやスポーツ記者は、誰も怒りを示さなかった。
 世の中には、悟りを開いた人物が多いようだ。

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