コラム「スポーツ編」
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掲載日2004-07-26

現在発売中の『スポーツ・ヤァ!』097号(角川書店・発行)に掲載されている、「近鉄買収」に名乗りをあげたライブドア社社長の堀江貴文氏との対談の一部を“蔵出し“します。現在進行中の“プロ野球問題”に興味をお持ちの方は、是非とも『スポーツ・ヤァ!』を買って全文を読んでください(7月29日発売号には、プロ野球選手会事務局長である松原徹氏との対談も掲載されています)。

買収がダメなら新リーグ

――今回のパ・リーグ・チームの合併と1リーグ化への動きのなか、球団代表がプロ野球選手会への説明で、近鉄買収を表明した『ライブドア』を「信頼できない会社」といいました。これは名誉毀損ですよね。

堀江 そうですね。訴えたら勝つかもしれないけど、裁判なんかしてもしても仕方ないでしょう。それに、古田さん(選手会長)を通しての伝聞ですから。まあ、今後さらにいろんな発言が出てくるかもしれませんから、そのときは考えますけど(苦笑)。

――ただ、一般の人もライブドアってどんな会社?と疑問を持ってるのも事実です。

堀江 インターネット関連の会社です。

――そういわれても、わからない(笑)。

堀江 いま、新しいパラダイムシフト(時代や社会の枠組みの変化)が起こっていて、インターネット以前の社会では、いろんな事業を複数手がけるのが難しかったんですけど、いまはそれが可能になりました。

――それで、証券会社も、自動車保険も、コンピューター・ソフトの販売も、イベントのプロモーションも、倉木麻衣なんかのタレント・プロモーションも、金融業への投資も、企業の買収も・・・。

堀江 まあ、理解されにくいとは思いますが、うちの会社が新聞を出したり電車を走らせたりすれば、信頼してもらえるんでしょうかね(苦笑)。でも、それは現代では非常に乱暴な意見です。一昔前にテレビが出現したときも、テレビに何ができるのか、誰もわからなかったのが、企業の宣伝費で儲かった。ただ、いくらテレビ局に知名度があっても、全国に支店を持って銀行業を営むことはできなかった。それが、ネットなら可能なんです。支店なんかなくても、客がネット上に来てくれますから。

――そういう新しいベンチャー企業が、スポーツ産業に手を出すというのは、ある意味で当然の成り行きですね。

堀江 そのとおりです。スポーツは21世紀の大きなコンテンツですから。

――ただ、アメリカではスポーツは20兆円規模の産業にまで発展してますが、日本ではなかなかビジネスとして成立しない。

堀江 そこが重要で、スポーツを振興させるにはビジネスにしないといけない。

――年間赤字30億円のパ・リーグのバファローズでもビジネスになりますか?

堀江 もちろん。だってJリーグのチームはほとんど黒字じゃないですか。サッカーよりも人気のある野球が黒字にできないわけがないですよ。

――でも、Jリーグの場合は放送権料が平等に分配されるなど、リーグ全体の発展を考えた平等な運営になってます。

堀江 それは、たかだか数億円単位の話で、大きな問題じゃないです。そもそも近鉄球団の赤字の額が不明朗なんです。選手の年俸総額が20億円、スタジアムの年間使用料が6億円、警備費などが4億円。合計約30億円が経費。一方、収入は入場料の売上げだけでも30億円以上あるという。だったら30億円とも40億円ともいわれてる赤字ってどこに消えてるんだ、ということになる。

――キャンプの費用、選手の移動費・・・などを加えても数億円ですね。

堀江 想像するしかないですけど、近鉄本社からの貸付金があって、その利払いがあるとか、本社から天下ってる球団職員がバカ高い給料をとってるのかも・・・。海外の公開されてるスポーツ企業や、Jリーグが公開してる資料をもとにシミュレーションしてみても、近鉄が使ってるカネというものが、どうにも理解できない。

<中略>

――しかし、新たなチームが人気を保つためには、Jリーグのチームのように、ファンが「おらがチーム」と思えるような意識を持てるような活動が必要ですね。

堀江 福岡ダイエーはそれに成功しつつありますよね。あのチームは地元の企業やお店に対して、ブランド使用料を無料にして成功した。ホークス・グッズは届け出さえすれば何でも創れるようにして、本来入るカネを販促費だと考えて、地元の人気を獲得したわけです。さらに欧州のサッカーなんかは、ホスピタリティという考えで、ホームゲームを見に行くとチームのOBの解説を聞きながら観戦できるとか、いろいろアイデアを考えている。実際そういう年間予約のボックスシートだけで総収入の40%を売上げ、1千万円もするのに順番待ちの盛況だと聞いてます。ペア・シートを創ってもいいし、いろんなことが可能ですよ。

――アメリカのメジャーやマイナー・リーグには、バーベキューを楽しみながら観戦できるピクニック・シートや、野球を見ながらヘアスタイルを整えてくれるバーバーズ・シートなんてのもあります。

堀江 それ、いいですね。それに、日本の野球場って、メシが不味いでしょ。競馬場もそうだけど、スポーツを楽しむ場所で、そういう気遣いがないですよね。

――そもそもスポーツは体育という考えですから、観客席で飲食禁止の体育館もある。だからプロ・バスケットボールが生まれないのです。そんななかで、著書に「日本社会に革命を起こしたい」と書いてる堀江社長がプロ野球に手を出そうとされてるのは面白いと思います。野球界には、日本社会の旧弊が最も色濃く残ってますから、野球が変われば社会的影響も大きい。

堀江 そうですね。Jリーグには手を出したいとは思いませんね。もう既にいろんなビジネスモデルが実践されていて、経営改善の余地があまりないから面白くない(笑)。それに較べて野球は、やれることがまだまだいっぱいあるから面白い(爆)。

――しかし現実問題として、近鉄球団買収は無視され、オーナー会議ではさらなる球団合併による1リーグ化に拍車がかかり、堀江社長の出番は難しそうですが・・・。

堀江 まだわかりませんよ。

――問題は、選手たちの意志ですよね。

堀江 そうですね。ここで選手たちが立ちあがるかどうか。古田さんには、いっちゃ悪いけど、ちょっと地味な印象があって(笑)。もしかすると、ここで化けるか化けないかの瀬戸際かもしれないですね。

――それはストライキを打てるかどうか、ということですか?

堀江 戦術的にはそうだろうし、もしかしたら、飛び出すことまで考えるべきかもしれないし・・・。

――それはチーム単位の話ではなく、新リーグに飛び出す、という意味ですか?

堀江 そうですね。新リーグでしょうね。

――選手たちが飛び出してきたら、堀江社長は受け入れるわけですね?

堀江 受け入れるつもりはありますよ。もしも古田さんクラスの選手が音頭をとってまとまれるんであれば、可能性はあります。

――新リーグに必要なチーム数は?

堀江 まずは6チームでしょうね。最初は。

――それは、興行的に可能ですか?

堀江 もちろん可能ですよ。軌道に乗せる自身はあります。

<中略>

――近鉄球団買収に名乗りをあげたときも、球団を「所有」してオーナーになろうと思っていたわけではないのですね。

堀江 そんな考えはないですよ。球団と選手が自立しないとダメだと思ってます。球団が営業をしてスポンサーをとってくる形にするべきで、メインスポンサーが親会社になって球団を所有するという形態は健全じゃないですよ。自立した球団を、僕らの経営ノウハウで「支援」する。そういう前例ができれば、自立する球団が次々と出てくると思います。もちろん僕らがカネを出す対価はキャピタル・ゲインとして入ってきますから、それで会社としての大義名分は成立します。

――新リーグにしろ新チームにしろ、そういう変革には何年くらいかかると?

堀江 わたしはせっかちですから(笑)、2〜3年のうちにはやりたいですね。でないと、そのうちに野球人気が本当にしぼんでしまいますから。

<中略>

――新リーグとなると、アマチュア野球との関係も構築する必要がありますね。

堀江 アマチュアのほうからも、プロ化の話が出る可能性はありますよね。

――アマ球界のドンといわれる山本英一郎氏は「日本の野球界もJリーグのような組織にするべき」という意見の持ち主です。

堀江 なんでそれを実行できないの?

――もう、かなりのお歳ですから(苦笑)。それにプロ野球は読売新聞、社会人野球は毎日新聞、高校野球は朝日新聞と、日本の球界はすべて巨大メディアの支配下にあって、思い通りには動かせないようですから。

堀江 なるほど。これは凄いチャレンジですね(笑)。

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