コラム「スポーツ編」
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掲載日2004-07-12

プロ野球選手会長である古田敦也氏との対談を、抜粋で“蔵出し“します。この対談は、6月23日に行われたもので、7月1日発売の『スポーツ・ヤァ!096号』に掲載されました。現在進行している「プロ野球壊滅への動き」を危惧するファンは、是非とも『スポーツヤァ!』のバックナンバーをお買い求めのうえ、全文をお読みください。

「逆境こそ改革のチャンス!」

玉木 合併への動きを知ったのは報道で?

古田 そうです。皆さんと同じ。

玉木 選手会には連絡はなかった?

古田 なかったですね。記者から、あのオーナーがこんなことをいったけどっていわれて事情がわかる程度です。

玉木 それは無礼な話ですね。

古田 ええ。そうですね。

玉木 おまけに巨人の渡辺オーナーは、今回も選手会長に対する暴言を口にした。前にストライキを示唆したときは「古田はファンに殺されるぞ」とまで・・・。

古田 ええ。それに較べると今回はマシです(笑)。「(古田は)バカだ」といわれただけですから(苦笑)。

玉木 経営陣は、ファン無視も甚だしいですが、選手に対する見下し方もひどいですね。

<中略>

玉木 シーズン中にこういう事態が生じたら、メジャーリーグの選手会なら、即ストライキでしょう。最低でも全球団の選手会長は試合を放棄して会議を招集し、経営陣の失態と責任を追及して今後の対応を協議すると思います。来年からプロ野球がどうなるかわからないというのに選手にとってはペナントレースの試合を続けられるような事態じゃないですよ。

古田 それをいわれるとつらい(苦笑)。けど、我々も何もしてないわけじゃなく、事務局のが選手の声を集めています。合併をいわれた当該球団の選手たちは誰もが不満に思ってますし、球団数が減ることに賛成してる選手なんていません。ただ、自分の立場とか都合で、なかなかそれを口に出せないんですよ。

玉木 それは野球選手の悪い癖ですよね。

古田 そのとおりです。癖というか、野球選手は昔から縦関係が非常に厳しい体育会系の世界で育ってきたじゃないですか。1年上の先輩は神様という環境のなかで小中高校と育ってきて、そんな理不尽なことやってられないと思って野球をやめた人はプロになってないわけですから(苦笑)。今回の問題でも、まだまだ自分たちで動かすことじゃなく、決められたことを受け入れるという考えの選手が多いですから。

玉木 近鉄の梨田監督が「我々には何もできませんから」とコメントしたのは大問題ですよね。監督や選手がいないと、渡辺オーナーも何もできないはずなのに。

古田 まあ、梨田監督の発言は置いておいて(笑)、そのとおりなんですよ。ファンと選手がいないとプロ野球は成り立ちません。ただ現状では、企業にも存在してもらわないと成り立たないわけです。

玉木 NHKの『サンデー・スポーツ』で星野仙一氏が、Jリーグのアルビレックス新潟のような市民球団として残す方法も検討するべき、といった発言をされてました。

古田 そのとおりだと思います。いまは最初に合併ありきで話が進行して、とにかく1球団減ることを前提に進んでます。けど、球団数が減るのはプロ野球界全体が縮小することで、選手数も減れば、ファンの数も減る。イメージも悪い。いったん縮小したものを元に戻したり拡大したりするのは大変です。だから1球団減るとか1リーグの話じゃなく、11球団になりかかっている現状を12球団に戻す努力をするべきで、そのためのあらゆる方法を検討するべきです。

玉木 プロ球界の改革に熱心だったロッテの重光オーナー代行までが、5球団では40%の収入減でパ・リーグはやっていけないから1リーグ制に、といいだしましたね。

古田 10球団なり8球団なりの1リーグ制が、本当に日本の球界の発展につながるというのなら、僕らはそれでもいいと思いますよ。けど、その展望は誰も口にしていないし、僕にも見えない。そんななかで、ただ巨人と試合して放送権料がほしいとか、巨人戦の放送権が減ったららどうするんだとか、そんなことばかり話題になってるんですから、がっかりしますよね。そんな次元の話じゃないだろ、といいたくなります。

玉木 結局、金魚の糞のように巨人にくっつきたい球団が利権の奪い合いをするだけで、球界全体のことは誰も考えてない。

古田 Jリーグは、10年ちょっと前に生まれて現在30チームですよね。1チームの金銭的規模はプロ野球のほうがはるかに大きいけれど、各チームは着実に地域社会に根ざして、サッカー界全体として大きく発展しています。僕が、いま子供だったら、野球とサッカーのどっちに魅力を感じるか。それを考えたら、野球だといえる自信はないですよ。サッカーは山形にも仙台にも水戸にも甲府にも、自分の近くにプロ・チームがあって、四国や沖縄なんかにも、まだまだ増やそうとしてるんですから。しかも、赤字のチームがなくなった。

<中略>

玉木 だったら、どうします?

古田 いまは話せませんが、アイデアがないわけではありません。さいわい多くのファンの方々が、合併反対の声をあげてくれています。阪神という地域ではなく、地元大阪のチームを残そうという声も小さくない。僕も関西人だから大阪人気質はわかってますが、「なんとかしたろ」という気概のある人は多いです。それに、いまは不況だといっても、利益をあげている企業はいっぱいありますからね。バブル崩壊以降のそれらの優良企業は、驚くほどの利益をあげている。

玉木 ヴィッセル神戸もIT企業に救われましたからね。近鉄球団を買収したら新規加盟料として30億円を支払わなければならないという野球協約を持ち出す人もいますが、大洋漁業から横浜ベイスターズを買収したTBSだって支払ってないわけですから、死文化してるといえますね。それに、12球団に分配されるだけで、使う道筋も決めてない大金だから、もらうほうも困る(笑)。

<中略>

古田 ただ、いまは当面の問題に対して、とにかく時間がないわけです。毎年夏頃から来シーズンの計画が始まるわけで、6月中旬(13日)に突然のマスコミ発表で、7月7日がオーナー会議だといわれれば、近鉄にかわって球団を持つことを決意する企業があっても、時間がなさすぎますよね。

玉木 経営者側は当然それを狙ったと思いますよ。93年にFA制度が、選手会の意志を受け入れた形ではなく巨人の意向で採用されたときから、1リーグ制への流れはあったわけです。FAによって選手の年俸が高騰してパのいくつかの球団が破綻するという流れが。でないと西武の堤オーナーが清原を放出するような制度に賛成しないでしょう。ところがイチローの活躍や営業努力で、パ球団が意外と長く保った。堤オーナーにしては、まだかまだかという気持ちだったでしょう。だから、もうすぐアテネ五輪にマスコミの目が移るいま・・・。

古田 そんな経緯は僕にはわかりませんけど(苦笑)、最近マスコミは、野球人気の低下による1リーグ制の問題を書いたりしてましたよね。でも、それは野球界全体にとっての死活問題というか、大重要な問題ですから、もっと先の問題というか、これほど急にドンと出てくるとは思いませんでした。こういう最悪の事態にならないよう、球界の首脳の方々も考えてくださってると思ってましたから。

玉木 ほんとに、そう思ってた?

古田 多少はね(苦笑)。

<中略>

古田 今回の問題は、選手だけでなく、球団関係者もふくめた雇用と処遇の面でも大きな問題なわけで、大危機なんですけど、この逆境を、逆にチャンスにしたいですね。近鉄さんはどう考えてるか知らないけど、大阪はいま球団を残したいという声が盛りあがってますし、神戸でも合併反対の声があがってる。僕らもがんばりますけど、そういうファンの声がいちばん大切だと思うんです。我々選手に対する批判の声もふくめて、そういうファンの声が全国的に広がれば、プロ野球を本当に改革しようという動きにもつながっていくと思うんです。

玉木 僕も、そう思います。東京ドームのライトスタンドでも、合併反対のプラカードが出ればいいですね。でも、ユニフォームの胸のマークが「TOKYO」から「YOMIURI」に変わったとき、それに反対するプラカードを映さなかったのと同様、テレビや新聞の多くは、そういう本当のファンの声を無視するのでしょうけどね。

古田 いま、プロ野球の視聴率が下がってることが問題にされる一方、放送権を確保したいという矛盾するような動きがあるわけですけど、野球そのものの人気がさがってしまえば視聴率も何もあったもんじゃないわけで、そこを考えてもらわなければ・・・。

玉木 プロ野球の親会社のエライサン方は目の前の10円を拾おうとするだけで、将来の野球のことは考えてない。最後に、つけ加えることは何かありますか?

古田 野球協約は不備だらけだってこともいっておきたいですね。

玉木 でも、協約って、あの人たちはいくらでも平気に破れるんでしょ?

古田 ええ・・・といってはダメなんですけど・・・(苦笑)

*****

繰り返しますが、是非とも『スポーツ・ヤァ!096号』のバックナンバーをお買い求めのうえ、全文をお読みください。

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