コラム「スポーツ編」
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掲載日2007-05-29

この原稿は、毎日新聞5月11日付朝刊の連載コラム『金曜カフェ』に寄稿した文章に、少々手を加えたものです。高野孟氏の主宰する、<ざ・こもんず>にも発表しましたが、多くの人に読んでいただきたいので、こちらにも“蔵出し”します。

特待制度は「野球の問題」か?

 プロ野球の「裏金疑惑」に端を発した高校野球の「特待生問題」が騒がれ続けている。
 高野連は、学生野球憲章に反して「特待生制度」を施されていた生徒に対して、臨時の「救済措置」を認めることにしたが、基本的には「特待生は認めない」方針のようだ。

 それに対して、「他のスポーツと同様、認めるべきだ」という声も出てきた。
 私は、どちらの意見にも賛成できない。

 そもそも高校野球の「特待生」は、「教育の問題」なのか? それとも「(日本の)野球(界)の問題」なのか?
 その答えは明らかで、高等学校という教育機関で、教育よりも野球のほうが重要などということはありえない。つまり、特待生の問題は、「野球の問題」ではなく「教育の問題」のはずである。

 ならば、これは文部科学省や教育委員会が指導すべき問題で、なぜ高野連という高校の課外活動(野球)だけを管轄する団体が高校教育にまで容喙(ようかい)するのか、私には理解できない。
 夏の甲子園大会予選は多くの高校の1学期期末試験と重なっており、そんなスケジュールを組んでいる高野連が、「高校野球は教育」というのも理解できない。

 それほどまでして若者たちに野球を広めたいと思うなら、高校という教育機関に固執することはない。いや、固執してはいけない。四国アイランドリーグや北信越BCリーグのような独立リーグのクラブを全国に広めることに力を入れるべきだ。

 地域のクラブが数多くできれば、若者たちは無理をして高校や大学に入学しなくても、大好きな野球に専念できる。若くしてプロ契約できる選手も生まれる。もちろん勉強や学問も修めたいと思うなら、クラブで(プロとして)野球をしながら高校や大学に通うこともできる。

 教育か野球か、という選択は個人の問題であり、高校は教育、クラブは野球(スポーツ)に力を入れれば済むことだ。
 今すぐ全国にクラブ作りをというのは無理だろうが、「スポーツの正しいあり方」を将来のヴィジョンとして打ち出し、教育機関によるスポーツイベント(興行)は縮小の方向へ向けるべきだろう。

 高校生によるイベントならノーギャラで済むから利幅が大きい、などと考えている人はまさか存在しないだろうが、教育の場から人気イベントを作るのは間違った行為だと、誰もが気づいてほしいと思う。

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